三十六計遊ぶに如かず ミアレシティ2 「やあ、お隣さん」 あだ名と呼ぶには少々他人行儀な「お隣さん」は、ひどく自然な動作でアセビの向かいの椅子を引いた。あたかもそこが以前から自分の席であるかのように。空のパフェグラスやケーキ皿を一瞥し、カルムは苦笑を浮かべる。 彼女の膝には一体の小さなポケモン。濃灰色の体に、骸骨のような面。面の隙間からは揺れる赤い単眼が見えた。その子どもはアセビの皿の上から失敬したらしいフルーツサンドを夢中でかじっている。 「珍しいな、ヨマワルか。アセビの?」 「カロスではマイナーなポケモンなのに、さすがデスネー。デモ、残念ながらほかの登録者がいるようデース」 オーダーを取りに来たウエイトレスに、カルムはブラックコーヒーを注文する。アセビはメニューの一角をするりと指でなぞり「ここからここまで」ウエイトレスは引きつった笑顔でオーダーだらけの伝票を更に黒く染めた。 「ここは奢りますヨ、デザートは?」 「結構。見てるだけでお腹いっぱい」 ほどなくしてコーヒーと追加オーダーが運ばれてきた。カラメルソースのたっぷりかかったワッフルを頬張るアセビと、それを真似して頬に手を当てるヨマワル。その光景は微笑ましいが、テーブルの上に広がる光景は全く微笑ましくない。 「いつもこんなに食べてるの? よく財布が持つね」 「確かに過食の気はありマスガ」 アセビは行儀悪く頬杖を突き、半眼でカルムを見る。しかしその焦点はカルムではなく、その背後、ともすればここではないどこかを見ているようだった。 「一定以上の金銭を所持できないのデス。精神衛生上、ネ」 「え」 「自分では持てないのであれば、使ってしまうしかないデショ?」 碧眼を細めたアセビは乾いた笑顔を浮かべた。カルムは沈黙を呑みこむように、随分酸味の強くなったコーヒーをすする。 「預けたりはしないの?」 「オゥ……」 ****** ・さあミアレのゲートをくぐるぞーと意気込んだ矢先の出来事。尋常でない身長ののっぽさんが突っ立ってた。 ・え、人間……え? ・浮浪者みたいな見た目なのに妖精さんがどうとかファンシーなことを呟きながらどこかへ行ってしまったのっぽさん。あの、そっちゲート、ミアレのゲート……。 ・MOTHER3を思い出した。 ・気を取り直して花の都、ミアレシティ北側へ到着。ホロキャスターに通信が入る。博士か図鑑所有者の誰かかなーと思ったら、予想外のフラダリ。 ・あ、あれ、私この人とアドレス交換したっけ? ・わるいアデクさんことフラダリさんの名前は某クソコラグランプリのタグで覚えました。わるいアデクさん連呼してた頃はガチで名前忘れてた。なんか美しい世界がどうとか言ってた。せやな。 ・サナに声をかけられる。引っ張られるような形でエッフェル塔の再点灯に立ち会うことに。どうやらエッフェル塔はジム兼観光施設になってるらしい。 ・おっと、そこにおわすは新シリーズレギュラーのシトロンさんじゃあないですか! もっと序盤のジムかと思ってた。しかもサナは妹ちゃんともども友人らしい。さすがリア充、顔が広い。 ・イベントも終わったのでミアレを観光して回る。トロバの実家にもお邪魔しました。想像以上にお坊ちゃんだったぜあいつ。違う町からひとりずつって言ってたし、サナがミアレ出身は見当違いか。 ・ビルの中で突然の心霊イベント。リアルで「えええええ」とか言ってしまった。コワイ! これ派生するイベントなのかなあ。 ・ぐるっと回った感想。ミアレの視点移動がカプコンゲー並。 ・引きのアングルは開放感あるし非常にいいんだけど、距離が詰まると先が見えないからすげーみにくい。ミアレに限らず道中でもちょくちょくある現象なんだけど。あと変なところでカメラ移動に切り替わるから同じ施設に出たり入ったりすることもしばしば。 ・これがスタイリッシュ度を上げるのに手っ取り早いというガレットか。ガレット買わなきゃ、てちょっとクッキークリッカーに似た狂気を感じる。 もちろん無心で買いましたとも。あっという間にスタイリッシュですとも。 ・どこかのカフェでモブが言ってた、ガレットをコーヒーに浸して食べるのおいしそう。 ・スタイリッシュになってもミアレの服屋クソ高ェ。なんも買えないわ。 ・さてジム戦。歴代電気ジムで苦戦しなかったのは正直マチス大佐くらいなので、すげー嫌な予感しかしない。アメリカ横断ウルトラクイズの果てにシトロン戦。 ・@先鋒エモンガ→あっ(察し) ・Aエレキフィールド→10万即死コース。 ・B被急所にて乙。 ・六体中弱点三、等倍二、半減一で葬式状態。穴掘りを駆使しなんとかレベル上げと道具に頼らず四回目で勝利。チゴラスが耐性を活かし最後の活躍を見せました。ありがとうチゴラス、リストラの日は近い。 ・ボルチェンの強さは第六世代でも健在でしたね。ちくせう。 ・フラダリさんカフェも経営してるらしい。真っ赤な内装のカフェとか落ち着かんわ。 ・口を開けば過激なことしか言わないフラダリさんとそれなりに友好的な関係を築いている色男博士はすごい。 ・次は十四番道路を抜けてクノエシティへ。 【トレーナーカード】 アセビ(♀) 一軍 ・ケロッグ(ゲコガシラ♂)Lv.34 ・なんばん(ファイアロー♂)Lv.37 ・ハニィ(フラエッテ♀)Lv.33 ・チュロス(ヒトツキ♂)Lv.35 ・ガブティラ(チゴラス♂)Lv.33 ・サラダ(クズモー♀)Lv.29 →頑なにレベル上げをしない系トレーナー、私。 [*前へ][次へ#] [戻る] |