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モノクロ(璃宮)

太陽が昇って沈んで月が輝いて

この部屋の窓から眺めるのは何度目だろう


「名前…?」

ベッドで寝ていたはずの笑太が私の名前を呼んだ

「眠れないのか?」

「うん…」

ギシッとベッドが軋む音がして、笑太が近づいてきた

大きな両腕で私をぎゅっと抱きしめてくれるけど、心の真ん中にぽっかりと空いた穴は埋まってくれない

「…璃宮」
「名前、」



『名前が無事で、良かった』

「璃宮」

そんな笑顔いらない

『お前は馬鹿な女だから心配だよ』

璃宮がずっと側にいてくれるならいくらでも馬鹿な女になるわ

『なんでこんなやつに惚れたんだろ』

私もなんでこんな意地悪ばかり言うあなたを好きになったんだろう

『ごめんな…』

いやだ、聞きたくないよ謝らないでとっさにぎゅっと握りしめた璃宮の手は段々熱を失っていく

「どうして、」

(私なんかをかばったの)

そう言いたいのに口が思うように動いてくれない

『ちゃんとご飯食べろよ。お前ほっとくと何にも食べないからな』

力無く笑って私の頬をなでる璃宮の手

私を見つめる宝石のように美しいオッドアイ

光に反射して輝く金髪


ああ、時が止まっているようだ


『愛してる』



璃宮の唇が微かに動いた

「いやだ、璃宮!」
「名前っ!」
「や、離して!!」

腕を振り払ったと同時によろめいて床に倒れ込む
(璃宮、璃宮)
「名前」
(いやだ、聞きたくない)

耳を塞ごうとした手は笑太に掴まれて動かせない



「上條は死んだんだ」





私の世界は色を失った



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