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切なくて会いたい気持ち(璃宮)

深夜に鳴った携帯電話

聞こえてきたメロディーは、彼だけの指定着信音
しばらく聞くことがなかったその旋律に、寝ぼけていた頭がはっきりとする

鳴り続ける携帯を手にとって開くと、ディスプレイには大好きな彼の名前


「もしもし、」

「僕だけど…寝てた?」

「うん、でも全然大丈夫だよ」

「そっか」

璃宮の声を聞いたら、何故かとても安心した
同時に、口をついて出てきそうになった『会いたい』という言葉を無理矢理呑み込んだ

「、元気にしてるの?璃宮、」

「…うん、名前は?」

「私も元気、だよ」

「…」

「…」

二人の間に続く、沈黙


(もしかして何かあったのかな、、)

「璃、」

「会いたい」

「、えっ」

まさか璃宮の口から『会いたい』って言葉が聞けるとは思っていなくて、驚いた「…ごめん、何でもない」

「璃宮…」

「…」

「…私も、会いたい、よ…」

「…今、名前の家の前にいるんだ、」

「ほ、ほんとに?!」

慌てて部屋の窓を開けて暗闇に目を凝らすと、そこには携帯を片手に持つ璃宮の姿

(う、そ!)

「待ってて、今すぐ行くからっ!」

返事も聞かずに、携帯を握りしめて部屋を飛び出る

階段を下りて、ばたばたと玄関の鍵を開けた

(早く、会いたい!)

「、璃宮っ!!」

「名前…」

大分前に会った時と変わらない彼の優しい笑顔
でも、何だか私の目には悲しそうに映った


「璃宮、」

璃宮の頬を思いっきりつまんでやった

(彼にとっては些細な痛みだろうけど)「痛いんだけど」

「ばかっ

泣いてもいいんだよ?」

「、後ろ向いて」

「へ?」

「早く、」

「う、うん」

後ろを向いたと同時に璃宮が抱きついてきた

(そうか…)

胸元に回された二つの腕が震えているのを見て、はっとした

彼はプライドが高いから、決して人前で自らの弱い部分を見せようとしない

(それが彼を追い詰めているのかもしれない、)

「…璃宮、つらい事があったら、時間なんて気にしないで私の所にきてよ」

「…」

「私はいつでも璃宮の味方だから、ね?」

そう言って、璃宮の震える腕をぎゅっと握ると、肩口に顔を埋めたまま、私の名前を呼ぶくぐもった彼の声

「…名前」

「ん?」

「…ありがと」






(少しだけでもあなたの力になりたい)(大好きだよ、璃宮)



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