今日は何の日(縢)
カレンダーの日付を見て。
「あ」
思いの外、響いた自分の声に近くの人間から視線が集まる。ちょっとやってしまった感がある。
「あ〜・・・」
「どうしましたの?」
ちょっとした注目に、このまま黙って何事も無かったように振る舞うという選択肢は選べない。二の句が告げず、呻いていたら優しい撰華がやんわりと促す。
「ん〜今日さ・・・」
ぽりぽり、と頬を掻きながら自分で言うのは憚られると思いながらも続きを述べる。
「俺の生まれた日」
縢の一言で、瞬間、一係がざわめいた。特に女性陣。常守に至っては「なんでもっと早くいわないの!」と、意味不明な怒られ方をした。
そして、急遽、縢の誕生日会が催されることと相成ったのだ。
「もういいよ。なんか恥ずかしいし」
なんだか自分で誕生日パーティを催促した痛いやつみたいだ。そう思って、せこせこと飾り付けをしている常守と撰華に言えば、二人にギロリンと睨まれた。
「何をおっしゃいますの!とても大切な日ですのよ!盛大に祝いますわよ!」
「そうだよ!ちゃんとお祝いしなきゃ!」
なんで祝われるほうが叱られるんだろう。お祝いというか、お仕置きみたいだ。
とくに、動くでもなく、ぼーっとしていた佐々山がフラフラと近づいてきた。ちょっと嫌な顔をしてしまった。なんとなく。仲間と思われたくない。
「そーそーせっかく騒げる口実なんだから、黙って祝われとけーって」
「みっつーは騒ぎたいだけじゃん!」
「あ、あんたの為じゃないんだから・・・か、勘違いしないでよね!」
「ほんとにオレの為じゃないし!しかもツンデレ!?マジキモ!」
「キモいとかひっでーの」
何キャラだよ!?と、喚く今日の主役の頭を、佐々山はぐしゃぐしゃとかき混ぜる。
「うっわ!何すんだよ!あーもー髪ぐっちゃぐちゃじゃん!」
暇なんだろう。暇なんだな。そうとしか思えないくらい、佐々山に絡まれる。その間に、飾りつけがあっという間に完成した。
今日は何の日
(生まれてくれてありがとう!)
最初はheathのつもりだったのにいつのまにか佐々山さんがいらっしゃったのでforsythiaにしました。この二人の絡みを公式で見たかったなー。ちくそー。
(19/12/03)
[戻る]
無料HPエムペ!