七夕(狡噛) 「もしも離ればなれになってしまったら、慎也さんならどうしますか?」 「織姫と彦星みたいに、か?」 今夜は七夕。それで、そのような発想に至ったのだろうが。どうしてこうも、女性というものは、仮定の話をしたがるのだろうか。 「さあな。離れて困るような相手に恵まれてないからな」 「もう!意地悪ですわ!」 誰と誰が、と明確に言われなかったので、そう返せば撰華がプンスカと怒る。 「俺だったら神を倒すかな」 「まぁ!潜在犯らしい素敵な回答!」 それを嬉しげに、良いことかのように受け取るこの女も大概だと思う。 「あんたならどうするんだ?」 「わたくしなら、仕事をこなして、逢瀬を楽しみますけど」 「優等生の回答だな」 「慎也さんだって、やるべきことをやらない女性に魅力は感じないでしょう?」 「まあな」 基本的に二人とも真面目だった。 「でも、この二人は仕事をする一秒だって惜しくなってしまうほど、お互いを愛しているんですよね。それってとても素敵なことですわ」 七夕 (まぁ宇宙が存在する時間を人間の寿命に換算したら、数秒に一回会ってる計算になるらしいけどな) (台無しにもほどがありますわ) 恋愛重視のはずですが、この二人も色気がないですねえ。何故だ。← (21/07/07) [戻る] |