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愛しのテディ(宜野座)



「撰華・・・画面が見えないんだが」
「存じてますわ」
「存じてるならどけろ」
「まぁお兄様、日本語がおかしいですわよ」

 言外に邪魔だと命じても、彼女はのらりくらりとかわす。そんな彼女は仕事中の自分に構うことなく膝に腰掛けている。しかも向かい合うように座っている為、顔と顔が近い。名誉の為に言っておくが、自分が彼女に邪な感情を抱くことはない。断じてない。

「ふふ。こうしていると昔を思い出しますわね」

 確かに。十年ほど前に幼い彼女の世話役を賜っていた頃、彼女は本を読んでいた自分にこうして妨害を仕掛けてきたことが度々あった。しかし五、六歳の子女なら微笑ましいが、十代後半に差し掛かった多感な年頃の少女の行いとしてはどうだろう。些か無防備すぎるのではないかと思う。言っておくが、自分が彼女に邪な感情を抱くことはない。大事なことなのでもう一度言っておく。というかそもそも、十年経っても行動パターンがかわらないとはいったいどういうことだと言いたい。十年前は精神年齢が高いと感じたが、今は低すぎるように感じる。

「仕事中なんだふざけるな」
「わたくしふざけてなんていませんわ!お兄様にお伺いしたいことがありますの」
「何だ」

 両頬を包むように手を添えてきて、珍しく眉間に皺なんか寄せているものだから、一応聞いてやる。

「眼鏡、おやめになって?」
「帰れ」

 聞くんじゃなかった。

「知的なお兄様にとてもよくお似合いですけれども。わたくし個人的にはお兄様の素敵な瞳を見ていたいのです」
「お前の好みなんか知るか」

 狡噛が好きな癖に、と心の中で少しごちる。

「それに邪魔ではありませんか?」
「そんなことはない」
「キスのときとか」
「必要ない」
「まぁ!わたくしのお兄様ともあろう方がモテないはずがありませんわ!」
「何だその自分本位な考えは」

 自分の首に両腕を絡ませて、挑発的に微笑む撰華には申し訳ないが、彼女の恐らく誘惑にあたる行動など、宜野座にとってはくまのぬいぐるみが葉巻をくわえて紫煙を吐き出す光景ぐらい、シュールにしか感じられないのだ。
















愛しのテディ
(僕の中の君はいつまでも)




















ギノさんとイチャイチャ。
でもこの二人は親愛です。ギノさんは幼いヒロインの世話をしていたこともあってか、ヒロインに甘い傾向があります。わかりにくいですが、結構な無茶ぶりでも大概に肯定で対応してくれます。
「大きくなったらイチゴになる!」「そっかーなれるといいねー」ぐらいの許容っぷりが理想です。

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