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鋼鉄の萌やし(狡噛)







 ころん。






 ころん・・・。






 ころころころ・・・。






「うぜぇ」
「きゃあ」

 腹の上で回転する身体を両腕で押さえ込む。左手は背中に、右手は彼女の括れた腰に。上がった悲鳴が喜色を孕んでいることなんて百も承知だ。

「動くな。鬱陶しい」

 軽い撰華一人が腹の上に乗っても、狡噛の鋼鉄のような身体はびくともしないが、始終動かれては迷惑だ。

「慎也さん。ベット、買いましょうよ」
「イヤだね」

 きゅうくつですわ。と。腕の中で喘ぐ彼女には悪いが狡噛は今のままで、大いに満足している。
 そもそも、

「もう1つの方で寝ればいいだろ」

 彼女に宛がったのは自分が寝てないもう1つのソファだ。身体のサイズは逆だが、大きい方をわざわざ与えたというのに。
 いつの間にか人の上で寛いでいる。

「ヤです。せっかく一緒にいられますのに」

 拘束されたままで器用に頬擦りする様はまるで猫だ。気のせいか、ごろごろと咽の鳴る音が聞こえる。

「スペースは余ってるじゃありませんか」

 ベットを買う余裕はある。空間的にも、金銭的にも。それを渋る理由は他にある。

「こうしてくっついていられるのも嬉しいですけれど、ベットならもっとイチャイチャできましてよ」

 そう。それだ。まさしく狡噛がベットを買い渋る理由だ。人の気も知らずに、と憤慨する。
 腹いせに右手で括れの輪郭をなぞってやると、彼女の身体が生け捕りにした魚のように跳ねた。ザマァミロ。

「やだ・・・!んっちょっ、もう・・・しんやさんのいぢわる・・・っ」

 擽られたからといって、大口を開けて笑うことに恥じらいを感じる彼女は、懸命に身を捩りながら、涙目で拙い抵抗をする。拘束された状態の抵抗等、狡噛にとっては徒に身体を擦られるようなものだ。鼻から抜けるような吐息を漏らす彼女に、この辺で許してやろうとすぐ解放する。痛み分けどころか若干自分で自分を追い込んだ気がするのは気のせいだ。











鋼鉄の萌やし
(ヒョロそうに見えて意外と頑張ってる俺の理性)














「あんた、俺のこと誘ってんのか?」
「あら、わたくし慎也さんと一緒にいて、お誘いしていない瞬間なんて無くってよ」
「そういえばそうだった」

 魅惑的な服装も、肉感的な仕草も、色を含んだ声音も、脳髄を溶かす匂いも全て貴方の為にあるのだと。













狡噛さんは「据え膳ラッキーwww」なお人ではないと夢見てるので(いいじゃない!だってドリームだもの!)。ただ、自分の部屋というテリトリー内だと、ちょっと理性が緩くて、割とイチャイチャしてくれるという設定です。

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あきゅろす。
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