正直者(常守+佐々山+狡噛) 「撰華さんと佐々山さんって付き合ってるんですか?」 「ない」 真っ先に否定したのは言われた当の本人ではなく、全く関係ない、たまたまそこにいた狡噛だった。 「いや〜そう見えちゃう〜?」 「お前も否定しろよ」 佐々山が後ろ頭を掻きながら、さも、バレちゃった〜?みたいな態度をとる。因みに撰華はこの場にいない。 「いや〜黙っていても滲み出る仲睦まじさは隠せないんだよ悪いな狡噛」 「え?狡噛さんって撰華さんのこと」 「ない。何もかもない。断じてない。ありえない」 皆まで言い終わる前に遮られた。それも全否定だ。全力だ。 狡噛は寡黙であまり人当たりがよくない分取っ付きにくいかと思っていたが、その実、面倒見がよく、気の遣い方が上手で然り気無いフォローを何度もしてもらった。年の離れた兄のような青年を常守は好ましく思っていたが、今はいつも纏っている静かでそれでいて温かい穏やかな空気は欠片も感じられない。寒い。心なしか凩が聞こえる気がする。 「結局二人は付き合って」 「ない」 また遮られた。佐々山は爆笑していて話にならない。 「何故、そう思ったんだ」 「いえ、撰華さんと佐々山さんよく一緒にいるし仲がいいから」 「それだけか?」 そしてそれを男性側に聞くのか。狡噛は常守の疑問が素朴なものであることに安堵した。 普通は女性同士で話すことなのではないかとも思うが、常守は善くも悪くも正直もので、心で思っていることと口にしていることが殆ど同じという珍しい生き物だ。今もふと頭に浮かんだことが口をついて出ただけなのだろう。こう言うと、何も考えてないみたいだが、・・・いや、実際に何も考えてないのかもしれない。と狡噛はつい思ってしまう。 正直者 (まぁあの乳は俺が育てたと言っても過言ではないけどな!) (もうお前黙れ!) (えぇ!そうなんですか?) (信じるな常守!) 「あ!思い出しました!この間狡噛さんが非番の時に佐々山さんが撰華さんを膝に乗せて仕事してたんです。だから・・・」 「朱ちゃんストップ!ストップ!」 「んだとこらぁ?」 「いやぁ二人っきりだし最近構ってなかったから、撰華ちゃんが甘えたがって、いやほんとよ?」 「佐々山さんはすっごく幸せそうに太ももなでくり回してました」 「ちょ!朱さん!?空気読んで!」 「今思えば撰華さんはすっごく嫌がってたように見えたかも・・・」 「らめぇー!」 「・・・・・・・・・」 佐々山が再起不能?どういうことだ狡噛! 自業自得です。残念! たぶん仕事のヤル気が出ない佐々山が冗談半分に「膝の上に乗ってくれたら今日中に出来るかも」とか言って強制的に(仕事を)やらされたんだと思います。 今ほんのり固まっている設定としては、ヒロインは飛び級して監視官になっていて、佐々山と初めて会ったときはまだ二次成長より前だったので、乳の成長を見守っていたというのは事実です(笑)。 因みに狡噛さん及び一係はヒロインに対しては保護者になってます。 [戻る] |