2 生命を創り出す事に なんの疑いも無かった。 やさしい・・・ 本当にやさしい母さんだった。 ボク達はただもう一度母さんの笑顔が 見たかっただけだったんだ。 たとえそれが錬金術の禁忌に ふれていても それだけのためにボク達は 錬金術を鍛えてきたんだから・・・ 「兄さんは左足を失ったままの重傷で・・・今度はボクの魂をその右腕と引き替えに錬成してこの鎧に定着させたんだ」 アルが語り終えて、エドが自嘲するように鼻で笑う。 「へっ・・・二人がかりで一人の人間を甦らせようとしてこのザマだ・・・」 エドは顔をあげてロゼに向き直る。 「ロゼ、人を甦らせるってことはこういうことだ」 その瞳は覚悟の強さを物語るように鋭さを増していた。 「・・・その覚悟があるのか?あんたには!」 その問いかけにロゼが身体をびくりと竦ませる。 言葉の余韻が、石造りの部屋の中で響いて消えた。 「くくく・・・エドワード・エルリック!!貴様それで錬金術師とは!!これが笑わずにいられるか!?」 「うっせーんだよ、石が無きゃ何もできねぇどサンピンが!」 「そーだっそーだっどさんぴん!・・・ところで、どさんぴんって何だ?アル」 「ルナお願いだから空気読んで!」 おこらりた。 「なるほどなるほど、それで賢者の石を欲するか。そうだなあ、これを使えば人体錬成も成功するかもなぁ?」 青筋を立てて怒鳴るエドを見下すように、教主の笑いは止まなかった。喉の奥でくつくつといやらしい笑みを浮かべる。それがルナの癇に障る。 教主は人体練成を、大切な人を思う気持ちを人を集めるための道具としているのだから。 「うるさいぞーハゲ」 教主はルナの『ハゲ発言』に顔を引き攣らせる。小さい呟きだったのにやたら敏感だが気にしているのだろうか。 「こ、これはハゲではない!坊主だ!」 「嘘つくなハゲ。どうみても天然ハゲだろいいわけすんなハゲ。ハゲの国に帰れハゲ」 「・・・んなっ・・・!・・・な・・・・・・っ!!」 「ぷっ・・・くくくく・・・ぎゃはははははッッ!!!!ハーゲ!ハーゲ!!」 ひきつった教主の顔がツボに嵌ったのかエドが大げさに笑い出し、ついでにお腹を抱えて転げまわった。アルに至っては、口(?)元を押さえて横を向いている。笑いを堪えているのだろう微妙に肩が震えている。 教主はワナワナと震えながら絶句していて、それらを見ながら、ルナは手を腰に当てて満足げにフフンとふんぞり返った。やたらドヤ顔である。ロゼはぽかんと呆気にとられてしまった。 シリアスちゃんと仕事しろ。 [*前へ][次へ#] |