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らしくない(16骸生誕)拍手ログ



 不吉と謂われる色でさえ、君が携えているだけで不思議と純粋に見えるんだーーー。



 なんでもない、麗らかな午後。数少ない自由な時間を消費してお茶を嗜んでいたら、目の前にいた少女が相変わらず唐突に喋る。


「貴方の目は綺麗ね」


 毎度のことながら、彼女の唐突さには驚かされてばかりだ。今、綺麗だと言ったのか。この、呪われた目を。


「日本人ではありませんからね。青眼なんて珍しくはないでしょう」


 彼女の視線が自分の六の文字に注がれている気がしたが、大空と揶揄される弟が大好きな彼女のことだ。きっともうひとつのほうだろう、と骸は冷静に分析する。今日彼女が着ているワンピースも同じ色だ。
 悪魔でも平常心を装ってそう言えば、彼女が不思議そうな顔で首を傾げる。


「そっちじゃなくて」


 あぁ、そっちも綺麗だけど。と彼女が慌てて付け加えた。そっちとはどっちだ。


「赤いほうの目。珍しいよね」


 珍しいどころか、この世に二つとしてない代物だ。骸は声を大にして言いあげたかったが。平常心、平常心、と自分に言い聞かせる。
 じっと彼女を見やる。いつもの如くにこにこと微笑んでいてあまりじっくり見れたためしがないが、その瞼の下の色は深い闇色だ。不吉の象徴でもある。しかし、この国では強さだったり、高貴さの象徴に準えられることもある。
 骸は目の前の無害そのものの存在から視線を外し、憮然とする。
 彼女はたまに、無知を装ってこのような挑発をしてくることがある。しかし骸は最近、彼女にはあまり言い返さないように心掛けている。腹を立てても、なんだかんだと人を言いくるめてくるので、彼女の挑発にのることは体力の無駄だと知ったからだ。
 
 それにしても、思想や感情のありかたや行動など以外、つまり外見で挑発されるのは初めてだ。

 と、思ったのだが。


「オッドアイっていうのも格好いいよね」


 ちょっとだけ、おや?と思う。


(もしや、本当に誉めているつもりなのか?)


 もしやも何も、彼女は先ほどから確かにいい意味の言葉ばかりを並べたてている。しかし、いかんせん、彼女との普段の舌戦を思えば、疑心暗鬼になるのも仕方がないのだとご理解いただきたい。
 だが、まぁ。慣れているつもりだが、やはり誉められるというのは悪い気はしないものだ。


「貴女の目も綺麗だと、僕は思いますよ」


 だからたまには、本音で話してやるのもいいだろう。

 視線も合わせず、憮然とした表情で言われたそれに、揚羽は目を丸めた。すぐに可笑しくなって笑う。いつもの綺麗過ぎる微笑みよりも、仏頂面の方がいいなんて。





(でも下手したら中二病全開だよね)
(君はいつも一言多いですよ)












 〜おまけ〜


「六の文字がなかったらもっと素敵よね」
「なにいってるんですか!この漢数字が格好いいんじゃないですか!」
「・・・外国人って変な漢字が好きだよね」
「僕から言わせれば、自国の文化の美しさに無頓着な日本人の方が不思議でなりません!」
「うんうんそっかそっかー」
「特に制服!あれは素晴らしい・・・」
「うんうんそうだねー」


 このあと数時間に渡る制服論議が始まるので割愛。


(ちゃんと聞いてますか?!)
(うんうん聞いてる聞いてるー)









もちろん夢主は嫌な顔ひとつせずに最後まで聞いてあげますよ。






掲載日(16/06/09-16/06/30)








おまけは次ページにしてて『次はおまけです』のメッセージを入れ忘れてしまったのにすぐ気付いたんですが、皆さん意外とクリック1回でブラウザバックされてたのが見てて面白かったのでそのままにしました(笑)。意地悪な管理人ですみません。


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