とびらをあけて(夢主+?)日記ログ
何もしてくれなくていい、っていうのは本当。
同じ空の下にいてくれたらいい、っていうのも本当。
でも、ちょっとだけ嘘――――――。
【とびらをあけて】
ガコン、と重たげなドアが開いて間もなく、進もうとした彼は逆流してくる存在に邪魔される。
どしん、と勢いよく胸に飛び込んできたのは揚羽だ。後ろへ下がる体とは反対に、右手と右足を伸ばしせっかく開いたドアが閉まらないようにする。左手はしっかりと彼女を抱き留める。
「すごいね」
嬉しそうにそう呟いたのは彼女だ。
どっちが、と思う。
例えばこれが、彼女の家の玄関先なら少しはわかる。彼女はいつも呼鈴をならす前にドアを開けてくるから。でもここは、彼女の部屋の階に止まったエレベーターの中だ。すごいのは彼女の方だろうと素直に思う。ここまでくると、勘というか予知のようだ。そもそも、今日の自分に「すごい」といえる要素はまったくない。そう言えば、彼女がムッとした顔をする。
「だって、とてもとても会いたいと思ってたときに来てくれたから」
そしてまた胸に顔を埋める。それを聞いて思うのは、彼女の胸を痛ませたことへの罪悪感よりも、彼女に対する征服欲だった。つくづく自分は人間性が悪いと思う。
彼女がこのような人目につくところで正体を失うことはとても珍しい。それだけ、あのアルミのドアを思わず飛び出してしまうほどの衝動を彼女に抱かせてしまったのだろう。
ただ、一つだけ気にかかるのは、それほどの衝動に駆られた彼女はきっと来たのが自分以外の誰かでも同じ反応をしたのではないかと思う。そんな、想像の中の苛立ちに気付かれないように、左手で彼女を強く引き寄せる。
自分以外だったらどうするんだ。と、まともそうなことを言ってみると、彼女はこれまた察しよく。
「相手がアナタじゃなかったら、こんなことしないわ」
なんて、またもや人の征服感を刺激することを言ってのけるので、強引に彼女の腕を引いてエレベーターからやっと抜け出し、もはや引きずるように彼女の部屋へ向かい、叩き付けるように玄関の扉をしめた。
Love is an Open Door
(出口のない日々を壊して)
はい!お察しの通り某レティゴーです(笑)
掲載日(15/10/14)
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