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どうでもいい死にたがりより(16雲雀生誕)日記ログ


「救おうと手を差しのべることは傲慢なのかな?」


 彼女が珍しく弱気に言った。


「そしてその手を振り払われて悲しいと思うのは、やっぱり傲慢なのかな?」


 きっと彼女はそうされることを知っていて、そうしようとしているのだろう。傷付く覚悟をする彼女はいつも危うげだ。そして憐れなくらい他人のことばかりだ。


「そんなことないよ」


 月並みな台詞だと知っていたが、心からの言葉だった。


「君はよく自分のことを自己満足と言っているけど。それって逆もありきなんじゃない?」


 彼女はよく自分から救いを求める自らを浅ましいと卑屈げに言うが、己の欲望に忠実な自分にとっては、それのどこが悪いのか理解に苦しむ。
 彼女の行動自体は理解し難いが、彼女の自身の願いに直向きな姿勢は彼の好むところだった。


「手を伸ばすことが自己満足ならその手を振り払うことだって自己満足だろう?だったらそれはどっちの自己満足が強いかの勝負だよ」


 彼女が何故か珍しく口をあけて呆気にとられていた。なんだか馬鹿にされてる気がしてムッとすると、それに気付いた彼女が慌てて口許を隠す。


「君はなんでも勝負にしたがるね」


 へにゃり、といつもの困った顔で彼女が微笑む。だってそうだろう?


「振り払われた手を無理矢理掴んでやればいいんだよ」


 君の得意技だろう?


 揶揄するように言えば彼女は嬉しそうに笑う。


(君がしたいことをすればいい)


 死にたいやつは勝手に死ねばいいと考える自分はそう思う。








どうでもいい死にたがりより
(君の願いが叶えばいい)









雲雀は意外とヒロインの行動には肯定的。でも、行動内容および結果は眼中なし。
地味に10年後です。






掲載日(16/05/05)









logでもいいかなと思ったんですが、地味でも10年後らしいので『カエル』に。
ていうか10年後というか8年後だったり。原作の未来編の少し前です。


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