*IF番外編〜もしも人質じゃなかったら〜
『もしもヒューゴがジゼルを人質にとらなかった場合』を検証してみよう!
「あたしを殺してみなさいよ」
ジゼルの背後にいた一同がぎょっとして息を飲む音が聞こえた。
「譲れないものがあるんでしよ?だったらあたしを殺してでも貫き通すべきだわ。じゃなきゃ納得なんて到底出来ないし、必要性も感じない」
スタンは対峙する2人を交互に見遣った。凛とした彼女の背中に対して、迎えうつ彼の表情に変わりはないように見えたが、彼の剣先が僅かに揺れたのだ。
「ちなみにあたしは抵抗をまったくしないわよ。だってあたしはメイドで、遣えている身でご主人様に歯向かうなんて真似は可笑しいし技術的にも勝てるはずがないって愚かじゃないからわかっているもの。だからいつでも斬りかかってくれて構わないから」
「ジゼル!」
「皆さんは黙ってて下さいな」
説得なら任せてくれと言って着いてきた彼女は本人も言う通り、お世辞にも武人とは言えないし、強力な晶術が使えるわけでもない。それでも、彼女を連れてきたのは、本当に、彼女ならなんとかなりそうだと根拠もなく思ったからで、それなのに実際は説得には程遠い、煽りのような実際挑発の言葉ばかりを浴びせている。
彼女のあまりにも勝手な申し出にルーティが悲痛な声を出した。彼女を連れてきたのはむざむざと死なせる為じゃない。為じゃない、のに。
何故だろうか。
「だいたい坊っちゃんは甘いのよ」
はぁあ、と。わざとらしくため息を吐いたジゼルは両の手のひらを上に向けて肩を竦めた。
「ヒューゴ様がマリアンをどうにかできるわけないじゃない。あたしが生きてるのに」
「よしジゼル。マリアンを助けに行こう」
光の如く手のひらを返したリオンを咎める者は居なかった。
(結論。)
どっちにしろ結果は変わらないということ。
QED:彼女を抱き込んだことがヒューゴの敗因かと思いきやそうでもなかった。
ヒューゴにとってこの夢主は仲間にしても敵にしても邪悪なようです。(邪悪て!)可笑しいな。最初は「マリアンとあたしとどっちが大事なのよ!」をしようとしてたのに何故こうなったし。シリアスと見せかけて違うという。因みに坊っちゃんの切り替えが早いのは親譲りです。冒頭では内心gkbrしてるといい。
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