08.野宿
森の中で野宿することになりました───。
野宿
「わたくし、神殿以外・・・それも屋外で眠るなんて初めてです」
「あっら〜初めてなんですか〜赤飯炊きます?」
「何でそんなもの持ってる」
小豆を取り出したジゼルに、ピコーンとリオンのピコハンが唸る。なんか動作が手慣れている。
「よく考えたらオレたちも初めてだよな?」
「あら。そうなんですか?」
「まぁずっと宿使ってたからねぇ〜」
こてん、と首を傾げるフィリアにルーティが苦笑する。
「わたくし、冒険者の方はいつも野宿しているものだと思ってましたわ」
「まぁ宿代もったいないからっていう人もいるけど。あたしたちはあんまりしないわね」
「あぁそうだな」
「へーそうなんだ〜意外だな〜何で?」
「お風呂がないからよ」
「ナルホド」
「オイ貴様ら!喋ってばかりいないでちゃんと動け」
「あ、ごめんリオン!」
「へーへー働きますよ。お坊っちゃま」
「・・・ジゼル」
「はいな♪」
「キャアアア!」
「あーもールーティいい加減に学習しろよ。ジゼルも容赦なく電気流しすぎ」
「うっさいわね!スカタン!」
「スカタン言うな!」
「そこのスズメども」
「はいィ!」
スタンたちがようやく軽い口を閉じ、重い腰を上げて、薪でも探そうかとしたときに、パチパチと火の爆ぜる音がして動きを止めた。
ぎょっとして、振り替えると火がついた薪にジゼルが水の張られた鍋をかけているところだった。
「みなさーん。遊ぶのもいいですけど、食材ないんでなんかとってきてくださいな」
「わたくし、そこできのこを見つけてきましたわ」
「アカダマダケじゃないですかースープに入れると美味しいんですよねー」
「では作りますね」
言いながら火を調節するジゼルに、鍋へキノコを投入し、調味料で味付けをするフィリア。
手際のよい様は、初めてのサバイバルとはとても思えなかった。
(あいつらの方がよっぽど頼りになるな)
((・・・・・・・・・))
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