03.玩具
「わーアレ何だろうー?」
「かってにウロチョロするな!」
「ぐわあああああああああ(ビリビリ)」
玩具
バリバリバリ!と聞くだけで身の毛が弥立つような音を立てて、スタンが程よく焦げる。
それを見て、目を輝かせるものが約一名。
「やぁーだあー何これ、おもしろーい♪」
「オレ達はぜんぜん楽しくないからな!?」
キラキラと輝かしい笑顔でうっそりとそう呟くジゼルに、痛む身体に叱咤しながらスタンが身を起こす。何やら嫌な予感がした。
「坊ちゃんあたしにもかしてかしてー♪」
やっぱりな!
自分の防衛本能を褒め称えながら、しかしスタンはそのことがまったく解決法に結びつかないということに気づき愕然とする。予期できたところで、それを回避できなければ意味などないからだ。
しかし、救世主は意外なところにいた。
「ダメだ」
「リオン・・・!」
おそらく彼女がスイッチを手にすれば遠慮なく電流を流すだろう。それこそ玩具のように。
リオンが彼女を諌めたことにスタンは少なくとも感銘を受けた。
「壊すといけないからな」
「そっちの心配か!!?」
天から一気に地獄まで落とされた気分だった。
彼はどうやら自分達の体よりもリモコンの心配をしていたようだ。
だが、彼女の手にリモコンが渡らなかっただけ有り難いと思おう。と、無理やり前向きに考えることで、なんとか自分を慰める。
「坊ちゃん・・・お願い?」
「く・・・!仕方ない、少しだけだからな」
「弱っ!!!?」
あぁ自分たちの命はかくも軽いものだったのだろうか。
あっさりと手渡されるリモコンに、スタンはまたもや愕然とする。なんて世知辛い世の中なのだろうか。
あぁ、彼女の邪気のなさそうな笑顔がとても眩しい。
(実際は棘と毒ばかり。)
そしてshortの『最大の敵』へ続く。
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