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劇的再会




サボり行くか…ほら、アイツいるかもしんねーしな


 (05)


「あ、」 「げ、」

急に飛び込んできた光に目を細める。すぐに目は慣れ光の向こうに独りの女の姿

「なんだ男、来るな」

「……冷たい、女…だな」

もうソイツは口を開こうとしなかった。ただゆっくり空を見上げるだけ

長い睫毛がゆっくり閉じた

華蜘蛛様、彼女がそう呼ばれる理由は今はどこにも無い。目の前にいるのは、ただの女の子

「……ウチ…男、嫌いなんだ…」

「え、」

雲一つ無い青空には、浅葱色の髪がはっきりと映えた。風が吹いて前髪が揺れて、その前髪の隙間から哀しい瞳が覗く

「ウチの髪、男の所為…」

必要最低限のこと以外は話さないらしい。華蜘蛛様



不意に動いた唇はオレにとっちゃ最高の言葉を漏らした

「サ、ソリ…」

「!」

顔が赤くなる気がした

「良いな。その色…血の色…」

ちょっと違う気がするが…まあ、そうしておこう

「ごめ、離れて」

「お、わりっ!」

本能が、彼女の髪に触れたくなって、手を伸ばしていた…

「……」

「……」

沈黙が流れる。でも、そんな事は気にしちゃいない

「…サソリ…、頼みが」

「は、」

漆黒に包まれた彼女が声だけこっちに向けて話し出す

「……いちご、牛乳」

「え、?ああ、いちご牛乳な!」

見かけの恐怖とは正反対な嗜好に、思わず拍子抜け…そんな事言ったら失礼か

「あ、あの」

「?」

「ウチに刃向かったの、サソリ達、初めて…話がしたい。みんな、呼んで」

単語だけの繋がり

とても高校生とは思え無かったけど…

頑張ったな

思わず褒めてやりたくなった

「了解」

ただ、嬉しかった。名前を覚えててくれたのも、呼んでくれたのも…

そしてなにより

「てめー逃げんじゃねぇぞ!」

「逃げるんだったらてめーが屋上来たときに逃げてらぁ!」

普通に会話ができたことが──…




「あかつき…」

この学校で…ウチに刃向かったのは彼等が初めてだった

何故かは解らない

でも、彼等は私の心を解かしてくれる



「そんな、気がした…」


屋上の夢

「てめー屋上で2人っきりか」

「なんもしてねーだろーな?」



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あきゅろす。
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