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暴力天使




「はは、やっべ…」

「素直に従っときゃ良かったな」


 (03)


殴られる…!!

そう思って身構えて、思い切り睨みつけた。この角度だと口だけじゃなくて目まで見えるんだが。もうちょっとだけ見てても罰当たんねェよなって思って否定を示したのがついさっきで、それに後悔したのがたった今。その間わずか0.5秒。まさか殴りかかってくるとは思っていなかったからこそ此の速さだ

もう遅ェとか思って目を瞑った。が、何時まで経っても痛みがはしらない。それどころか自分の足元で何かが倒れ込む音さえ聞き取れる余裕がある位だ

ゆっくり目を開けると何故か華蜘蛛が倒れていた

「……?」

その場にいた全員が頭に?を浮かべて首を傾げた。それも見事に全員同じ方に

「おい、魅嗣…」

「ヒュー」

「魅嗣!姐さんぶっ倒れてるじゃねェか!お前の所為か!!得意そうにカント●ーロード吹くんじゃねェ!なんかイラッてくる!」

「いきなり右足引っ掛けるとかマジ無い!ウチ超カッコ悪!今のウチがコイツ殴ってカッコ良くキマるとこだったんだけど!マジ無い!ちょ、野次馬、見んといてー!」

「何も無いところで転ぶなんて相変わらずですね。貴方それでも華蜘蛛ですか?ハッ!ショッボ

「んだとー!」「見るな!恥ずい!」

どうやらオレの足元から聞こえた音はコイツがコケる音だったらしい。フードを取り、3人で喧嘩をする姿は不良では無く只の女子高生。さっきまでの恐怖はどこに行ってしまったのか。しかし華蜘蛛が足引っ掛けられて転ぶなんて、なんか可愛いな。足引っ掛けられるなんて

「糞っ!馬鹿!う○○!」

「姐さん!華蜘蛛がそんなコト言っちゃ駄目ッスよ!」

「なら貴方はそれ以下ですね。脳みそなんて肉眼では見れない程小さい癖にゴ●●リ並みの生命力の持ち主ですね。嫌われますよ?」

「この馬鹿!魅嗣の馬鹿!拷問狂!バーカ!うましか!」

「姐さん!訓読みしないで!」

「………仕方ないですね…ならこの和菓子は没収です。せっかく一流の和菓子職人を脅…に頼んで作ってもらった日本が世界に誇れる和菓子なんとお得な八品の超豪華セット…!(値段は企業秘密)」

「魅嗣ちゃーん…」

「魅嗣様と呼びなさい。能無し」

「魅嗣!姐さんがいくら甘味に弱いからって…!!」

「あ、超激辛和菓子八品のセットでした」

「やっぱお前嫌いー!!」

目の前で繰り広げられるお馬鹿な喧嘩に付いていけず、呆けていると華蜘蛛がコッチに振り返った (うん、可愛い)

「な、なんだよ」

素直に"可愛い"と言ってやれない自分に腸が煮えくり返りそうになるのを抑えてもう一度顔を見た。いつもなら"可愛い"の一言くらい他人事のように簡単に言えるのに

「お、覚えておけ!男!この借りは…か、必ず返す!利息も付けてな!!」

妙にどもってるな

「勝手にコケた奴が何言ってるんですか。負け犬の遠吠えにしか聞こえませんが」

「最低ッスね…魅嗣」

バーカバーカと連呼しながら屋上に続く階段へ向かって歩いていった。静まり返った廊下に聞き慣れた男の声がした


綺麗な花には近寄るな

「…男ひさしぶり」

「大丈夫ッスか?」

「慣れませんね…」





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あきゅろす。
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