2 『……狭い、から』 「狭い?閉所恐怖症か?」 『んっと…分かんないんだけどね、狭いとことか暗いとこがダメなの…』 そういわれてみると涼は暗いとこで1人になろうとはしない。夜もみんなが知らないだけで電気を付けたままで寝ているし、狭い空間はなるべく避けるようにしている。 トイレとお風呂に入れるようになったのはほんの数年前だ。 ただ、どうしてダメなのかが本人にもよく分からない。気が付いたときには苦手だと感じ、今までそれを避けてきた。それに家族に聞いても何も答えてくれないのだ。 『ごめんね、いつも付き合わせちゃって…』 「いいよ。階段が好きだからって理由だったら怒ってたかも知れないけど」 『階段は…疲れるから好きじゃないよ?』 「そうだな。ゆっくり上ってこうな」 『ん…ありがとう京ちゃん』 そっと握ってきた涼の手を力強く握りしめ、2人は一歩一歩上っていった。 なぜ涼は狭いとこと暗いとこが苦手なのか。その理由は分からないままだが、京一はこれから先も気をつけようと心に決めるのであった。 A、end [*前へ][次へ#] [戻る] |