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『……狭い、から』

「狭い?閉所恐怖症か?」

『んっと…分かんないんだけどね、狭いとことか暗いとこがダメなの…』

そういわれてみると涼は暗いとこで1人になろうとはしない。夜もみんなが知らないだけで電気を付けたままで寝ているし、狭い空間はなるべく避けるようにしている。

トイレとお風呂に入れるようになったのはほんの数年前だ。

ただ、どうしてダメなのかが本人にもよく分からない。気が付いたときには苦手だと感じ、今までそれを避けてきた。それに家族に聞いても何も答えてくれないのだ。

『ごめんね、いつも付き合わせちゃって…』

「いいよ。階段が好きだからって理由だったら怒ってたかも知れないけど」

『階段は…疲れるから好きじゃないよ?』

「そうだな。ゆっくり上ってこうな」

『ん…ありがとう京ちゃん』

そっと握ってきた涼の手を力強く握りしめ、2人は一歩一歩上っていった。

なぜ涼は狭いとこと暗いとこが苦手なのか。その理由は分からないままだが、京一はこれから先も気をつけようと心に決めるのであった。


A、end

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