3 *海のプレッシャー* 「頭がよくて落ち着いていて、さすが私の子ね」 小さい頃からよく母親に言われてきた言葉。 …別にあんたの子供でなくても俺は完璧にこなしてみせる。 これは俺の力だ。それを人に取られるのはいたたまれない。 小さな頃から勉強して本読んで。人には見せない努力をしてきた。 おもちゃよりも問題集。 外出よりも塾。 そんな頭のいい俺を、陸は悔しそうに見るんだ。 "比べるなよ…俺だって" そういう目で。…俺と同じ目で。 小さな頃から何かにつけては比べられてきた。 冷静にこなす俺と、落ち着きのない陸。 俺が悪戯をしても全部あいつのせいになる。 …それを、俺はあざ笑って見ていたんだ。 それだけが、俺を救う唯一のものだったから。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |