2 「俺はどうすれば…?」 『あ、えっと…卵と牛乳、出してほしいな』 「ああっ……あ?十夜、まだいたのか」 「っせぇ、どこにいようと俺の勝手だ」 『あっ、一兄ちゃんバニラエッセンスもっ!』 「ああ、待ってろな」 それはもう優しい笑みを浮かべ、必要なものを冷蔵庫から取り出した。その間に涼が道具の方を揃え、いざ調理を開始する。 『一袋でいっかな……っと、ん、あれ?』 「……やろうか?」 『だ、じょぶっ……ん、えいっ!』 ─ドバッ 『んわっ…!ケホッ、あちゃー』 「っ…涼…」 なかなか開かなかった袋がやぶけ、粉煙を巻き上げてボウルに入る。ケホケホと咳き込む涼の前を手で払い、一は呆れた顔を見せた。 十夜もクッと喉で笑うが、次に一がした行動につい睨みをきかせてしまう。 「ほら、ついてる。……ん、とれたな」 『ありがと!よーし、作るぞっ』 「もう少し落ち着いてな」 『へへ、はーい』 頬についてしまった粉を親指の腹で拭き取り、涼と目線を合わせて微笑む。涼は純粋に笑顔でお礼を述べたが、目の前で見せつけられた十夜はたまったもんじゃない。今にも涼を奪いに行きそうな勢いだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |