椰子の実(大地) 『だーいーちー先輩っ!』 僕が部屋で本を読んでいると涼君の声がした。慌てて玄関に駆け寄るとそこには可愛らしい笑顔で待っている涼君が。 「どうしたの?」 『えへへーっ……じゃん!』 そういって差し出してきたのは…、 「え、椰子の実?」 『はいっ。英士先輩が大地先輩と飲んでねって言ってくれました』 ご丁寧にハートの形をしたストローつき。全く英士は何を考えているんだか…。 『僕椰子の実って初めてです!』 「僕もだな。どんな味がするんだろうね?」 『甘いといいですねっ』 涼君は本当に甘いのが好きなんだね。…それにしてもどうやって食べるのかな、これ。 とりあえず穴、開けてみよう。 「はいどうぞ」 穴を開けてストローをさして涼君に渡してあげた。そうしたら涼君は、 『大地先輩もご一緒に飲みましょう』 って。凄く恥ずかしいけど涼君がずっと待ってるから飲んでみた。涼君の顔がすぐそこにあって味はよく分からなかったけど。 これじゃあ英士を怒っていいのか悪いのか、分かんないじゃんか。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |