スイカ(香) 『ゔぅ…重、いっ』 「涼……?」 涼に会おうと部屋に向かっていたら目の前に涼がいた。だがどこか少し苦しそうだ。 「涼、どうした?」 『んぁ、香先輩!…これ重くて…っ』 よくよく見れば大きなスイカを抱えている。それを俺は持ってやることにした。結構重く、ずっと持ってきたのかと思うと涼の腕が心配になる。 『ありがとうございました!よかったら食べますか?』 「ああ、頂こうかな」 部屋に入るとちょっと待ってて、といってキッチンへ入っていった。俺はリビングから見える涼の姿が好きだ。小さいころからそんな母親の姿など見たことがなかったから。 『お待たせしました』 「ありがとう。……ああ、甘いな」 『はい!美味しいですねっ』 糖度14ってとこだろうか。俺には少し甘すぎる。 『先輩…?美味しくなかったですか?』 俺がなかなか食べないから涼が心配そうに聞いてきた。必然的に上目遣いになる。 「いや、美味しいな」 『はいっ!』 甘い。ああ…君に胸焼けしそうだ。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |