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…のだが、紅葉は笑顔で若葉に手を振り、若葉もビデオカメラ片手に、周りのことなんてそっちのけだ。ある意味、恐怖の参観日である。
(ワイも紅葉とおるの、一番好きやで)
父親、なんて立派なものではないが、こうして作文まで書いてくれ、何回も好きだといってくれる紅葉に感動しないわけがない。それから授業が終わるまで、若葉はずっと紅葉だけを見つめ、紅葉もときおり振り返っては手を振っていた。
◆
「あんね、この作文ね、若ちゃんにあげるの!」
「ホンマかー嬉しいわー」
「ふへっ、うそ、かいてないんだよっ?」
「分かっとるって。ワイもな、紅葉が大好きやからよぉ分かるんよ」
「キャハハ、ナデナデ、すきーっ」
大きな手でクシャクシャッと撫でてもらうのが、紅葉は大好きなのだ。
家に帰ってきた2人は、先ほどの作文を机の上に広げながら、まったりとした時間を過ごしていた。紅葉が一番よく出来ていた…なんて、親バカなことだって普通に思ってしまう。
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