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「っ…!っ…!」

(な、な、…なんてエエ子に育ってくれたんやぁあ!)


 2年生の6月。第三日曜日には父の日がある…ということで、この学校では恒例の父親参観が行われていた。小学生らしいこの日の授業は、『ぼくのお父さん』という題の作文発表だ。

 たった今、紅葉が可愛らしい笑顔を見せながら読み終わったところで、若葉は泣くまいと必死に色んなものを堪えていた。


『はい、よく読めました。紅葉君はお父さんがホンマに好きなんやね』

「うんっ!ぼくね、若ちゃんとおるの、すきやのっ」

「もっ…紅葉ぃ…!!」

「えへへ、若ちゃん、ぼくよめたんっ」

「よぉ出来てたでっ、かわええ紅葉!」

『…はは…じ、じゃあ次の子に読んでもらうさかい、紅葉君、座ろうね?』


 スーツやら、一般の家庭の父親です、といった普通の父親たちの中に一人、白スーツで金のオールバックをビシッとキメた若葉が、顔を破綻させて混じっている。

 周りは距離をとり、子供たちの中には怖いと怯える子もいる。



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あきゅろす。
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