10 トイレの花子さんをやるつもりでいた一葉は、そっと2人の様子を覗いて普通に出てきた。それにさえも怯えて顔をあげない紅葉に、桐はもう脅かしはヤメロといって一葉を先にいかす。 そしてもう終わったと紅葉に教え、そ…っと顔をあげた紅葉の涙を舐めて拭った。 「っ、(ひゃ…っ)?」 「……いつも、こんな大人しきゃ可愛げがあるものの」 「っ…(キョロ…)」 「もう終わりだ、安心しろ」 「ぁ…(へにゃ…)」 ほんと?よかった…と気の抜けた笑みを浮かべる紅葉。涙で瞳も頬も濡れていて、まだ少し震えている。明かりもなく、だがその顔がよく見えるほど近づいている距離に、桐は知らず知らず喉を鳴らした。 おおきに、そう動く口へ己のそれを重ね、しばらくしてソ…ッと離す。 「っ…///」 「今日の礼は、これで勘弁してやるよ」 「…(ん…)」 (…心、強かったよ、桐…) キスは恥ずかしいけど、本当にそう思ったから。紅葉はまた桐の首へ手を回し、頭を擦り寄せるようにして抱きついた。吊り橋の恋、なんてものがあるが、あれは結構正しいのかもしれない…。 END! [*前へ][次へ#] [戻る] |