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 トイレの花子さんをやるつもりでいた一葉は、そっと2人の様子を覗いて普通に出てきた。それにさえも怯えて顔をあげない紅葉に、桐はもう脅かしはヤメロといって一葉を先にいかす。

 そしてもう終わったと紅葉に教え、そ…っと顔をあげた紅葉の涙を舐めて拭った。


「っ、(ひゃ…っ)?」

「……いつも、こんな大人しきゃ可愛げがあるものの」

「っ…(キョロ…)」

「もう終わりだ、安心しろ」

「ぁ…(へにゃ…)」


 ほんと?よかった…と気の抜けた笑みを浮かべる紅葉。涙で瞳も頬も濡れていて、まだ少し震えている。明かりもなく、だがその顔がよく見えるほど近づいている距離に、桐は知らず知らず喉を鳴らした。

 おおきに、そう動く口へ己のそれを重ね、しばらくしてソ…ッと離す。


「っ…///」

「今日の礼は、これで勘弁してやるよ」

「…(ん…)」

(…心、強かったよ、桐…)


 キスは恥ずかしいけど、本当にそう思ったから。紅葉はまた桐の首へ手を回し、頭を擦り寄せるようにして抱きついた。吊り橋の恋、なんてものがあるが、あれは結構正しいのかもしれない…。



END!

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