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 その様子に紅葉だけでなく皆唖然と見つめた。少しずつ、少しずつ…そして、ついに目の前までやってきた。


――コツ、

「……ここか。少し離れてろ」

「ぁ…(タタッ)」

「いくぞ…」


――ヒュッ、バコーンッ!


 ……当たった。
 そして、ついに割れた。

 それを間近で見ていた紅葉は凄いと目をキラキラさせ、目隠しを外した桐は満足げに笑みを浮かべる。いや、紅葉のその目が何よりも嬉しかったのかもしれない。


「スッゴいやん桐!耳エエなー」

「ふん、俺様だからな」

「悔しーいっ」

「でも割れたね。食べよっか」

「(スイカーッ)」


 それからは、皆ひたすらスイカを食べた。大人しい、女の子らしいといってもやはり彼らは男の子で、5人でスイカ丸々一つ食べてしまったのだ。もちろん管理人さんにも分けたし、椿と桐は他よりも倍近く食べていたが。

 甘い甘いスイカ。でもきっと、こんなに美味しく感じるのはそのスイカのおかげだけじゃないだろう。みんなで笑顔で食べる、それが何よりもいい味を出していたのかもしれない。


「……クッ、種つけて、バカじゃねぇの」

「っぁ…!っ…///」

「ふ、早く食えよ。じゃねぇと俺様たちが食っちまうからな」

((あ、甘い…))


 さり気なく親指で種をとってあげる桐に、無意識に顔を赤くする紅葉。実はスイカよりも、この2人が一番甘かったのかも、しれません…。




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