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「お湯かけるでー」
「うー?…っ、あ゙ーっ!おんぎゃーっ」
「なっ…何で泣くねん!シッ、黙りぃや暴れんなやっ」
「うぅぅーっ、おんぎゃああーっ」
「だぁあ何やっちゅーねん!」
お湯をかけた途端、紅葉が大声で泣き出してしまった。うまくいくと思い込んでいたせいで若葉も大声を出してしまい、紅葉の泣き声はさらに大きくなる。
若葉は足を揺らしてあぐらをかいた間にいる紅葉をあやしつつも、何がいけなかったのかと本を見る。温度には注意しろ、というのも触ってぬるいと思うくらいになっているし、目や耳に入ったわけでもない。
……まぁ、実際は初めてのお湯にビックリしただけなのだが。紅葉はまだ喋れないので若葉にはそれが分からないのだ。
「あ゙ー大丈夫や大丈夫。男がこれくらいで泣くんやなーい」
「あぅぅ…っ、ひっく、…ぅー」
「……お、エエ感じやん?よっしゃ、今のうち…」
──ザパーッ
「ひゃうっ!うっ、あーぅ」
(ははっ、ガキやなー)
お湯に慣れたと思ったら、次のお湯かけでは楽しそうに笑う紅葉。そんな子に若葉はふっと鼻で笑い、当たり前のことを子供のように思う。
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