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そして会場である体育館に向かい、他の人が怯えて避けるのをいいことに一番前を陣取る。ひそひそと囁かれる悪口すら、紅葉のことしか頭にない若葉は気づかないようだ。
そうして、ようやくお遊戯会は始まった。
◆
今日は年少さんだけの発表会ということもあり、紅葉のクラスの番はすぐにやってきた。前のクラスの『森のくまさん』や、その前の『犬のお巡りさん』。どれも可愛らしい発表だったが、若葉はダルそうに見つめたまますんともしなかった。
最前列で、金髪のにーちゃんが不機嫌にお遊戯を見ている。そのことに子供が何人泣いただろうか…。
『…──のクラスの発表です。頑張って下さい』
「っしゃ、頑張りぃや紅葉ーっ!」
──ザワッ
『あ、あはは…みんなええかなー?音楽、スタートッ』
デジカメ片手に、入場からバッチリおさめる若葉。先ほどまでの様子が嘘のようで、周りにいた保護者は顔を青くして身を引いた。そんなのお構いなしに若葉はカメラを回す。
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