[携帯モード] [URL送信]

「っ…じゃあ、紅葉のほしいもんやるから、作ってこい」

「むぅ、物で釣るのよくな、」

「あ゙ーうっせぇ!…食いてぇんだよ、クソッ」


 分かれクソが、と髪をグシャグシャに掻き乱しながら耳を赤くしてそういう桐に、紅葉はキョトンとしたのち、ぶわっと顔を赤くした。

 分かっているつもりだった。桐は素直じゃないからあんな言い方をしてしまうんだ、と。でも命令されるのは嫌で、お願いするなら…と思っていたのに、素直になられたらなられたで、なんだかとても恥ずかしい。

 紅葉は目を潤ませてそろりと桐を下から見上げ、まだ気恥ずかしそうにしている桐を見て小さくはにかんだ。ああ、好きだな、と改めて思う。


「…何見てんだよ…」

「んーんっ。ほな、ホワイトデーにもっかい作ってくるよ!」

「チッ、始めからそうい、」

「やから桐も手作りのものちょうだいねっ」

「…は?」

「ふふー桐の手作りお菓子!楽しみやっ」


 ニコニコと満面の笑みを見せる紅葉に、次は桐が焦る番。まさか見返りに同じ手作りのお菓子を要求してくるなんて、思ってもみなかった。

 手作り。そんなものしたこともなければ、自分がやるところを想像することも出来ない。さすがにそれは却下だ、といおうとしたら。


[*前へ][次へ#]

3/4ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!