3 キョトン、と。意味の通じてないまだまだお子様な紅葉に、桐はククッと笑う。しかしその言葉を聞いた若葉は真っ黒な笑みを浮かべ、手を伸ばして電話を奪い取った。そして、 「紅葉に変なこというんやない。ホンマに喰うたりしたらワイが殺したるさかい、覚悟しときぃ」 『あ゙、』 ――ピッ 「あーっ!若ちゃ、切っちゃダメなんにっ」 「エエんやほっときぃ。それよか紅葉、初詣はいついこか」 ニコッ、と紅葉には純粋な笑みを向け、携帯を返す若葉。紅葉はむすっとしながらも初詣の話しに目を輝かせ、その話しに乗ろうとした。…が、再びかかってくる電話。 紅葉は携帯と若葉を交互に見、あぅ、あぅと困り果てた様子を見せた。 「…はぁ、エエよ、出ぇ」 「う、うんっ。…もしもしっ?」 『テメェもしもしじゃねぇよクソが』 「か、堪忍ね!若ちゃ、ごめんなさいはっ?」 「はっ?!」 『いらねぇよんな奴の謝罪なんざ。…それより紅葉、今から俺様と会え、初詣いくぞ』 ニヤリ、と電話越しに笑ったのがなんとなく分かり、紅葉は相変わらずの俺様っぷりに苦笑を漏らした。…けれど、初詣はまさに今、若葉といついこうかと話しをしていたところで。 [*前へ][次へ#] [戻る] |