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動き出す自転車は、先ほどと比べてドンドンスピードがあがっていく。若葉は、それを見て手を離した。
――フラッ
「あわっ、わかちゃ、わか…にゃあ!」
「おぁぁ紅葉っ!?大丈夫かっ!?」
「うぅ…いたいの…フラフラしたの…」
「左に力入りすぎとったんやな。大丈夫や、紅葉なら出来る」
さすがに一回で乗れるはずもなく、紅葉は倒れてしまった。けれどなんて強いのだろうか。痛い、といったのに泣く様子は見せず、自分で自転車を起こして跨がった。
若葉は感動しつつまた後ろを押さえ、そしてスピードが出たところで手を離す。今度は、4・5mほど進むことが出来た。
「…わかちゃ、うしろいる?」
「え゙っ」
「おさえてて、くれてる…?」
「も、もちろんやん!…よっしゃ、もう一回!」
疑いの眼差しを向けられたが、若葉は嘘をついて自転車を立たせた。そんなことを次々と繰り返していくうちに、乗れる距離が長くなっていって。ついには、補助なしでUターンもすることが出来るようになった。
「ま、まがったー…あれ、わかちゃ?」
「おーこっちやこっち。ここまできて止まってみぃ」
「う、うしろいないの!ふぇ、転んじゃう…っ」
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