[携帯モード] [URL送信]

 動き出す自転車は、先ほどと比べてドンドンスピードがあがっていく。若葉は、それを見て手を離した。


――フラッ

「あわっ、わかちゃ、わか…にゃあ!」

「おぁぁ紅葉っ!?大丈夫かっ!?」

「うぅ…いたいの…フラフラしたの…」

「左に力入りすぎとったんやな。大丈夫や、紅葉なら出来る」


 さすがに一回で乗れるはずもなく、紅葉は倒れてしまった。けれどなんて強いのだろうか。痛い、といったのに泣く様子は見せず、自分で自転車を起こして跨がった。

 若葉は感動しつつまた後ろを押さえ、そしてスピードが出たところで手を離す。今度は、4・5mほど進むことが出来た。


「…わかちゃ、うしろいる?」

「え゙っ」

「おさえてて、くれてる…?」

「も、もちろんやん!…よっしゃ、もう一回!」


 疑いの眼差しを向けられたが、若葉は嘘をついて自転車を立たせた。そんなことを次々と繰り返していくうちに、乗れる距離が長くなっていって。ついには、補助なしでUターンもすることが出来るようになった。


「ま、まがったー…あれ、わかちゃ?」

「おーこっちやこっち。ここまできて止まってみぃ」

「う、うしろいないの!ふぇ、転んじゃう…っ」


[*前へ][次へ#]

4/5ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!