3 部屋も、ベッドもソファーもテレビも。目につくものは全て新しいものになっている。だがクッションだったり引き出しの中にあるものだったり、特に若葉の部屋なんて以前使っていたものがギッシリだ。2人だけの思い出がそこら中にあり、紅葉は感慨深くなってしまったのだろう。 若葉から一向に離れる気配はなく、とにかく座ろうといった若葉に、紅葉は珍しく「抱っこ」と子供のように甘えだした。 「いよ、っと。おー久々に抱っこしたけど、ちと重くなったんとちゃうかー?」 「若ちゃ、が、大きくなったっていったんよ?」 「そうやったな、その分増えたんやろうなぁ。よいしょっと、甘えたなとこは変わらんな」 「…若ちゃんは、黒なった…」 「はは、見た目はな。あーあとな、紅葉喜ばせよ思って料理勉強したから、うまなってるでー?」 ワイの料理以外マズく感じたらスマンなぁ、なんて若葉がおどけていえば、紅葉は若葉に抱きついたままクスッと笑った。以前再会したときは本当に急で、みんなもいた。だから2人きりでゆっくりすることがようやく出来て、紅葉も色々と思うところがあるのだろう。 若ちゃん、若ちゃんと紅葉は桐にも見せない甘えをして見せた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |