3 「あーまた逃げる。敵じゃないのに無駄な体力使って、ほーんとバカだねぇ…そこが可愛いんだけどさ」 「っ…嫌だ、来るな…っ!」 「くくくっ、いいよーもっと怯えなよ。恐怖に歪んだ目ぇ、見せてくれよぉっ!」 後ろにいないのに、アイツの声が凄く近くから聞こえてくる。 それが不気味で、早くカフェへ行こうととにかく走った。 けれど今は冬。 道に軽く積もっていた雪に足をとられ、ハデに転んでしまった。 「い゙っ…つぅ…」 「みーつけた。あららー可哀想に、痛いとこありまちぇんかー?」 「く、来るなっ…ほんと、なんなんだよ…っ」 「仲間のために走る姿よりも…恐怖に怯えてデタラメに走る方が君には似合うよ?弱いもんね、あんたは。物凄く弱いから、追いつめたくなる」 一歩一歩、ゆっくりと近づいてくる。 なんのことをいってるか分からない。不気味で、オレも地面を這うようにして後ろに下がった。 そして壁に背がつき、目の前まで来た紫がしゃがみ込む。 そのまま手を、まだ完治してない右頬に当ててくる。 [*前へ][次へ#] [戻る] |