1 『それじゃあ行ってきます』 エータは凄く幸せそうにそういって、これまた幸せそうなタッツーと出かけていった。 世間ではクリスマス。 去年はエータと寂しく2人で祝ったよな……って今年の方が寂しくね!? 俺1人じゃん!! ……と、気づいたとこで男だし特に気にすることもなく、エータにもらったゲームをして過ごすことにした。 「ちっくしょー…暇だぜ」 あれから結構経って、ゲームばかりも飽きてきた。 2人は今ごろ何してんのかな。 俺さーずっと…っていっても高1からだけどさ、エータといたじゃん? だからエータが今どれだけ幸せなのか伝わってくるわけ。 少し…羨ましかったりもするんだよなー。 「あーあ…こんなとき……っ、いや、え゙!?」 なな、なんで今棗がいればとか思ったんだ!? いやっ、俺は別に1人でも平気だし、あっちがちょっかい出してくるだけで俺は鬱陶しいと思ってた…はずなのに? そういえば今日は会ってないことを思い出す。 クリスマスという日だからこそ、棗はくるんだろうな、なんてどうして思ったんだか…。 「はぁ…これじゃまるで俺…」 ──ピンポーンッ 「ぅおっ!?…だだ、誰だっ?」 まさかエータたちがもう帰ってきた…なんてことはねーな、うん。 じゃあクラスの奴ら?それとも…。 可能性はあるかも、と思って少しドキドキしながらドアを開ければ、そこにはやっぱり棗がいた。 俺を見て笑いかけてくれ、少し寂しかった心が穴を埋める。 ………うわっ、棗を期待してたみてーじゃん! 「こんにちは、弘樹君。あがってもいい…かな?」 「っ…あー…何もないけど…」 「ありがとう。…あ、これね、プレゼント。弘樹君とクリスマスパーティーしようと思って」 「へっ?うわ、ピザに寿司!」 「ちょっと持ってて…まだあるんだ」 そういって足元に置いてたのか、ケーキとチキン、それから…シャンパン?を手に部屋の中へ入ってきた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |