3 『ゃ…ダメ、ですっ!!』 「………はぁ?」 「「え、なんなんすか…?」」 『うぅ……やだぁ』 「っ、おい……浅見」 後ろから久に抱きつき、前まで回らない手で必死に抱き締める。突然の衝撃に久は珍しく目を見開かせるが、涼は抱きついたまま動かない。顔も見えない。 「総長、何スかそいつ」 「んでもねぇ。………おい」 『……………や、だ』 「はぁ?」 『久先輩は、僕と一緒に来たんだもん。どっか行っちゃヤ!』 バッと顔をあげた涼の目は、強い光を放ちながらも潤んでいて、久は何がなんだか分からずうっと詰まらせた。チームの人も、その可愛らしい姿に顔を赤くする。 『僕を1人にしないってゆったのに…先輩、行っちゃうんですか…?』 「………はぁ、なんのことだよ」 『だって、この人たちと…』 「それは全部終わった後だ。つかもう離れろ」 『行かないですか?もっと僕といてくれますか?』 「チッ…………ああ」 そっと引き離した腕に今度は縋りつかれ、久は諦めたように頷いた。その瞬間涼の顔はこれでもかというくらい笑顔になり、何だかんだで弱いのかもしれないと頭を悩ませる。 『じ、じゃあ、あの、お礼がしたいんです!どっか行きましょう!』 「………………チッ」 「え、総長どういうことッスか!?」 「今日は行かねぇ」 『ぅぁ…ふへへ、久せーんぱいっ』 自分を選んでくれた久に嬉しくなる。結局今日も涼の1人勝ちということで、久は連れまわされることになった。 『あ、あの…僕邪魔…ですか?』 「………だったら始めから連れて来ねぇよ」 『っ…はい!今日は2人で楽しみましょーっ』 「……………はぁ」 END! リクエスト本当にありがとうございました。 [*前へ][次へ#] [戻る] |