2 「………早く行け」 『えっ、一緒に行きませんか?』 「行かねぇ」 『むぅ…はーい。いってきますっ』 (たく……んで俺が…) タバコに火をつけながらそんなことを思う。他の人が同じことをしていたら、自分に触れた時点でボコボコにしていただろう。だがそれが涼だと振り払うことすら出来なくなる。してはいけない気がしてくる。 「……………チッ」 「あんれ?総長ー?」 「………あ゙?」 「あ、やっぱ総長だ!何してんすかこんなとこで」 「いつみてもかっこいいバイクっすね!」 「………っせぇ」 なんてタイミングが悪いのだろう。タバコがもうじき終わるというとき、チームの人たちが久を見つけてしまった。バイクをブンブンいわしながら久に近づき、大きな声で挨拶をする。周りは怯え、そこには誰も近づかなくなった。 「これから溜まり場ッスか?」 「一緒に行きましょう!」 「…………ほっとけ」 「もしかして…誰か待ってんすか?」 「どうでもいいだろうが」 なかなか立ち去ろうとしない仲間に苛立ちが募る。 ……そんなころ、涼は無事欲しいものを見つけて会計をしていた。まさか久と一緒に買い物に来れるとは思ってもいなく、早く戻ってお礼がしたいと思っていた所だ。 「200円のお釣り…と、これ俺の連絡先。良かったら電話してよ」 『…?え、あの…っ』 「俺待ってるな」 『ええっ…ぅ、どうしよう…』 レシートの裏に書かれた店員の携帯番号。涼が1人で買い物をするとよくあることなのだが、そのたびに涼は頭を悩ませていた。久ならどうするか、それを聞いてみようと店の外に出たとき……涼がみたのはチームの人に囲まれた久だった。 「総長!行きましょうっ」 「後で行くから先行けっつってんだろ」 「そうっ…すかぁ…」 (え、えっ…久先輩どこか行っちゃうの…?) 怖い、だがカリスマなオーラを持つ久が好かれているのがよく分かる光景だった。涼は買い物袋を持ったまま、少し寂しそうな顔をした。そして仲間を見送ろうと少し動いた久に、行ってしまうと勘違いまでしてしまう。 [*前へ][次へ#] [戻る] |