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「………早く行け」

『えっ、一緒に行きませんか?』

「行かねぇ」

『むぅ…はーい。いってきますっ』


(たく……んで俺が…)


タバコに火をつけながらそんなことを思う。他の人が同じことをしていたら、自分に触れた時点でボコボコにしていただろう。だがそれが涼だと振り払うことすら出来なくなる。してはいけない気がしてくる。


「……………チッ」

「あんれ?総長ー?」

「………あ゙?」

「あ、やっぱ総長だ!何してんすかこんなとこで」
「いつみてもかっこいいバイクっすね!」

「………っせぇ」


なんてタイミングが悪いのだろう。タバコがもうじき終わるというとき、チームの人たちが久を見つけてしまった。バイクをブンブンいわしながら久に近づき、大きな声で挨拶をする。周りは怯え、そこには誰も近づかなくなった。


「これから溜まり場ッスか?」
「一緒に行きましょう!」

「…………ほっとけ」

「もしかして…誰か待ってんすか?」

「どうでもいいだろうが」


なかなか立ち去ろうとしない仲間に苛立ちが募る。

……そんなころ、涼は無事欲しいものを見つけて会計をしていた。まさか久と一緒に買い物に来れるとは思ってもいなく、早く戻ってお礼がしたいと思っていた所だ。


「200円のお釣り…と、これ俺の連絡先。良かったら電話してよ」

『…?え、あの…っ』

「俺待ってるな」

『ええっ…ぅ、どうしよう…』


レシートの裏に書かれた店員の携帯番号。涼が1人で買い物をするとよくあることなのだが、そのたびに涼は頭を悩ませていた。久ならどうするか、それを聞いてみようと店の外に出たとき……涼がみたのはチームの人に囲まれた久だった。


「総長!行きましょうっ」

「後で行くから先行けっつってんだろ」

「そうっ…すかぁ…」


(え、えっ…久先輩どこか行っちゃうの…?)


怖い、だがカリスマなオーラを持つ久が好かれているのがよく分かる光景だった。涼は買い物袋を持ったまま、少し寂しそうな顔をした。そして仲間を見送ろうと少し動いた久に、行ってしまうと勘違いまでしてしまう。

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