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『暗いしっ…ヤダ、みんなどこっ』

『1人になっちゃダメ、言われてたのに……パパ…ママ、みんなぁ』

『ぐすっ…泣いちゃダメ!が、頑張れ僕っ』


暗い森を恐る恐る歩いて行きます。
アリスは青い瞳をウルウルさせながら必死に自分を励ましました。

ですがポロッと、涙が流れてしまいます。


「っ、泣くなアリス」

『ふぇぇ、とぉやぁ…会いた、かった』

「んな情けない声出すな。おら、拭けよ」

『ん……ありがと。ね、お家、帰ろ?』


チェシャ猫の服をくいっと引っ張ります。
そのアリスの行動にチェシャ猫は顔を赤くしてしまいました。


「っ…こっち、行ってみろ」

『ふぇ…?わ、お庭!ありがと十夜っ……とーや?』


チェシャ猫の姿がありません。
アリスは少し寂しそうな顔をして前に進みました。

迷路のような庭から声が聞こえてきます。
アリスは喜びながら近づきました。


「キャーッこの写真ヤバい!」
「英士様キレーだよね」
「えー僕は香様だな」

『吉良先輩…真央先輩と拓海くんもっ!』


写真を飾りながら楽しそうに話をしているのはトランプ3枚組です。
見知った顔にアリスはホッとしました。

ですが…、


「何なのあんた」
「不審者!英士様に言わないと」
「きっと死刑ね」

『え、え、え!?わ、離してっ』


トランプたちに腕を取り押さえられてしまいました。
アリスは不安になりながらその女王様を見上げます。


「この人!不審者です!」

「……かわいー…アリス、やっと見つけた」

「何?アリスだと?」

「……チッ、会えたみてぇだし…帰るぜ」

『久先輩!やっと見つけましたっ……って英士先輩に香先輩もっ』


そこにはめんどくさそうに立っているウサギと、女王様と王様がいました。

トランプたちはいつの間にか遠くへ追いやられ、アリスはキングとクイーンに腰を抱かれてしまいました。


『んっ…あの、僕帰りたいんです…』

「もう?もっといようよ。ね…ここでは僕が一番偉いんだよ?」

「いや、俺だな。どうだアリス、一生俺たちと暮らさないか?」

「きっと幸せにするよ。気持ちいいこともたーくさんしてあげる」

『ふぁ…っ、先輩、ダメです!』

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あきゅろす。
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