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紅葉が若葉と再会を果たし、声を戻したのはクリスマスの日。その後すぐに冬休みへと突入し、2日後には紅葉は若葉のもとへ帰ってしまった。
それから数日、再び学園へ戻ってきた紅葉は人のいない時間帯に食堂を利用したり、菖蒲の手作りを食べたり。つまり、まだ一度も生徒の前で喋っていないのだ。
「アヤちゃん…僕、変に思われへん、かな…っ」
「大丈夫だよ、きっとみんな喜んでくれる。…ちょっと驚きで固まりそうだけど…」
「モ、ミジ…かわい。大丈、夫」
「ん…僕っ、ちゃんとおめでとういうん!」
休み明けの初登校。紅葉は2人の間に挟まれながら、ほんの少し不安を感じていた。喋れなかった人が急に喋るようになって、周りの変化がどうなるか、怖いのだ。けれど紅葉は己に気合いを入れ、クラスの前までやってきた。心配だからと、蓮見も一緒だ。
――ガラッ
『あっ、神崎くんおはよーっ』
「おはよう」
『キャー永井様!おはようございますぅっ』
「……」
『よぉ椎名、あけおめー!』
「っ…!」
それぞれに声がかかり、紅葉はビクッと肩を揺らしてその場に立ち止まった。いつもなら笑顔で頷いてくれる紅葉が俯いてしまったことに、クラスメートは何があったのかと心配そうに見つめる。
緊張。菖蒲の手に震えが伝わってきて、それを解すように優しく、紅葉の名前を呼んだ。
「大丈夫。ほら、みんな待ってくれてるよ…?」
「っ…ぁ、あけ、明けましておめでとう…っ!」
『『おー…、…ええ゙っ!?』』
「今年もっ、いっぱい仲ようして下さいっ」
ペコッ、と頭を下げる紅葉を、2人はよく出来ましたと誉めてあげる。けれどクラスからの反応はなく、ビクビクと震えながらみんなを見渡して、紅葉は不安げに2人の後ろに隠れてしまった。
だって、みんなして紅葉を凝視していたのだから。
「はは…驚くのもムリないけど、あんまり見つめないであげて?怖がってるから」
「…なんか、いえ」
『っ…椎名が喋ったぁああ!?』
『幻聴?えっ、ちょ、もう一回!』
「ふぇ、アヤちゃ、ハーちゃぁ…」
『『声まで可愛い…!!』』
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