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一度声をかければ猫のように小さく腕を丸め、もう一度声をかければうるさいとでもいうように唇を尖らせた。それでも寝顔は変わらず桐の方を向き、全てをさらけ出している。
桐は、何もいわず紅葉の髪を手で梳き、顔をさらにこちらへ向けさせた。そしてそのまま、誘われるがまま、…キスをする。
「ふ…っ、(んっ、…ん)…っぁ、っ…?」
「は…っ、…チッ」
「ふ、は…?(なーにぃ?)」
ちゅ、ちゅ…っと啄むようにキスをしていれば、さすがの紅葉も目を覚まし、そして桐も目を覚まして舌打ちをした。何をやってるんだ、と。だが寝起きの紅葉は何をされたのか分かっていないらしく、コテ、と首を傾げた。
さらに濡れた唇に、潤んだ瞳。頬にあとがついているのは可愛らしいが、また今の表情もなんともいえなくて。
「っ…起きろチビ、コーヒーいれてこいっ」
「……(コク)…」
「……いい加減自覚しやがれ、ックソ…」
素直に給仕室へ消えていく紅葉の背にそう吐き捨て、桐は椅子に座り直し頭に残る映像を消し去った。ムラムラ、悶々と湧き上がるこの欲は、恐らく何かの間違いだろう…と。
だがしかし、これからもこういうことは起こるだろう。そう、これが初めてではない。それほど紅葉の寝顔は破壊力抜群で、人の理性を奪っていくものなのだ。
それに紅葉が気づくのはいつなのか。それまで桐の葛藤は続きそうだ…。
END!
リクエストありがとうございました。
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