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 眠気、はいつ人を襲ってくるか分からない。大事なことをしている最中だったり、授業中だったり。そうたとえば、生徒会室に桐と2人きりで仕事をしていて、あまりの静けさに心地よさを感じてしまったとき、…だったり。


(ふぁ…ん、眠いぃ…)


 授業中、桐にムリヤリ呼び出されて手伝いをさせられていた紅葉。今は生徒会室には2人しかいなく、カタカタとキーボードを打つ音だけがいやに大きく響いている。

 始めこそ紅葉も文句をいいながらしっかりやっていたのだが、開始30分、集中力も切れ、眠気が襲ってきたらしい。

 小さな欠伸を漏らし、コシコシと手で目を擦る。…けれど眠気には勝てず、ついにはコクリ、コクリと頭を揺らし始めた。


(ぅー…らめ、や…寝ちゃ、らめ…)


 ……そして5分後、紅葉は完全に夢の世界へと旅立っていった…。







「あ゙ー終わんねぇ。…おい、コーヒー」

「……」

「…おい…って、マジかよ、寝てやがる…」


 この俺様が頑張ってるっつーのに。そう愚痴を垂らす桐は完全に手を止め、凝りを解しながら紅葉を見つめた。今日は椿の席で仕事をさせていたのだが、今は机に手をつき、無防備な寝顔をこちらにさらしながら寝ている。

 伏せられた睫毛は女の子のように長く、頬へ影を作っている。プニ、とした頬が手で押しつけられて盛り上がり、思わず触りたくなってしまう。そしてほんの少しだけ開いた、小さな口。桜色の唇は程よく濡れていて、まるでそう、キスをねだっているようだ。


「っ…エロくねぇか、コイツ…」


 桐は自然と喉を鳴らし、静かに紅葉のもとへ近づいた。すぅ、すぅと寝息が聞こえ、つい伸ばした手で頬をつつけば、一瞬眉間にシワを寄せたあと幸せそうに口元を緩ませたのだった。

 何の夢を見ているのか。とにかく、…可愛かった。


「……おい、起きろ、襲うぞ」

「…っ、…(んぅ…)」

「おい…紅葉」

「(んんぅー)」



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