4 ポカン、とオレを見る辰巳に、何バカなことをいったんだと数秒前の自分を心底恨んだ。 ああやだ、ガキくさいとか、女々しいとか思わないで。 ただ、2人で傘をさしたかっただけなのに…っ。 ――ポン、 「っ…?」 「いいな、相合い傘。してぇ。周りに見せびらかしてやろうぜ」 「え…いい、の?」 「たりめぇだろ。瑛太のしたいことは、俺のしたいことでもあるんだからな」 「辰巳…」 どうしよう、凄い嬉しいよ。 オレもね、辰巳のしたいことはオレのしたいことでもあるんだ。 オレたち以上に相思相愛な2人って、いないよね…? 一応持ってきた折りたたみ傘を広げて、辰巳に近寄る。 そしたら、傘を持ってくれた。 ごく自然な流れで。 そういうところが凄くかっこよくて、大好き。 「……もっと、くっついてい?」 「ああ、来いよ瑛太」 「ん…へへ、幸せだよ、辰巳」 「可愛いこといってんじゃねーよ…」 「え、…ん…ッ、ちょ、こんなとこでっ///」 背を屈めてきた辰巳と、唇が重なる。周りには人がいて、でも雨と傘のカーテンで少しだけ隠されていて。 なんか、ドキドキした。 だからオレも少し背伸びをして、辰巳の頬へキスをしたんだ。 驚く辰巳に少し満足して、ピッタリくっついて寮を目指す。 ……たまの雨なら、いいかもしれない。だって辰巳を、凄く近くに感じるから。 END。 リクエストありがとうございました。 [*前へ] [戻る] |