3
優しい目をした辰巳。
強く、指まで絡められたオレたちの手。暖かい…そう思っていたら辰巳がオレのおでこを小突いてきて、そして走り出した。
オレも、必死に足を動かしてあとを追う。
…ああ、もう、オレばかだ。
辰巳をびしょ濡れにさした雨は嫌いだけど、こういう2人で必死になる、少しだけ楽しい時間をくれた雨に感謝してるんだから。
…それからすぐ辰巳の家について、濡れた服のまま2人でお風呂に入った。
その…体は暖まったっていうか…熱くなりすぎた、けど…。
(もっとくっつけ、体冷やしたら風邪引くだろ)
(やっ、だっ…うぅ、分かってるもん…)
◆
――ザァアア
『げぇ、傘持ってねぇよ』
『これくらいならいけるかなぁ…』
「………雨」
「ああ、雨だな。…また走っか?」
「あのときみたいに?」
校舎の昇降口に2人で立って、外を眺める。この前ほどじゃないけど、強く降る雨。
何人かの生徒は走って寮を目指し、何人かは立ち往生。
まぁ、寮も遠いってわけじゃないし…。
でも、でもさ、辰巳。
「て、手ぇ繋いで走るのもいいけど…2人で傘に入るのは、ヤ?」
「……んぁ?」
「2人じゃ狭いかもだけど、でも、その…相合い傘…なんて…」
「え、た…」
「……っ、ごめん!バカなこといったよね、あはは、ガキくさいっつーの。ねっ」
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