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祝日と土日が続いて、連休になった。せっかくだからcolorsにも顔を出すため、辰巳のうちへ帰ろうってことになったんだ。
迷惑じゃないかと思ったけど、辰巳はそんなことないっていってくれて…。
へへ、いつも辰巳の部屋に泊まりにいってるのにね。
どうして場所が変わるだけで特別に感じちゃうんだろ。
「……ふぁ…」
「……ねみぃか?もうそろそろ帰っか…」
「ン…ごめ、平気。気にしないで」
「何いってやがる。んな目ぇとろんとさせて…おーい、そろそろお開きにすっぞ」
『『ウィーッス』』
朝から買い物に出かけて、早い時間からcolorsの溜まり場にきてた。
ケンカもしたせいか凄く疲れちゃって、まだ9時なのに欠伸が…。
オレのせいで気を使わせちゃったみたい。…オレのバカ、欠伸くらい我慢出来ないでどうするんだか…。
「…ごめん」
「………」
「っ…あの、あ、ありがと…」
「ああ…おらいくぞ」
「うん…///」
キュ、と手をごく自然に繋がれた。嬉しいって思うのはオレだけ?
辰巳はどんな思いで手を繋いでくれたの…?
ちょっとだけ目が覚めて、2人で夜風を浴びながらゆっくり帰る。
でも…この匂い、雨の匂いじゃ…、
――ポツ、ポツ…ザァアッ
「っわぁああ!?」
「なぁ…っ?!」
「な、んで雨ぇーっ」
「走るぞ瑛太っ」
夕方じゃないのに夕立かよっ!
そんなことを思いながら、バケツをひっくり返したように降る雨の中、辰巳と必死に家を目指して走った。
夜も遅い時間で、どこも雨宿り出来る場所がなくて…。
でも、冷たい雨に服が濡れ、体温が奪われていく中、…繋がれた手だけは凄く熱かった。
視界も悪くなって声も聞こえないほど、強く降る雨。
そんな中オレたちを繋ぐ手。
…ああもう、喜んでる場合じゃないのに。
「っ…瑛太、こっちだ!」
「はっ…わ、た、辰巳!?」
「一旦止まるぞっ」
グイッと引っ張られて、どっかのアパートの駐輪場へ避難。
辰巳の家まではもう少しあって、あのままだとオレの体力が保たなかった。
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