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「っ…(えい、ていっ)」
「ふふ、頑張れ紅葉」
「モミジ、出来る」
(あぅぅ、難しーいっ)
なかなか掴めないものだ。そうしているうちに己の顔に花びらが溜まっていき、紅葉はフルフルと頭を振った。…そのとき、
――ヒュウゥウッ
「「っ…!!」」
一際強い風が吹き付け、3人は一様に腕で顔を覆った。そして収まりをみせたころに目をソ…ッと開ければ、まるで雪のように舞い落ちてくる無数の花びら。
「(ふぁああ…っ)…!」
「綺麗だね…雪みたい」
「っ!(コクコクッ)」
「……モミジ、桜…似合う」
「っぁ…(そ、かな…)」
よく分かんない、と首を傾げながらも、紅葉は目を瞑って暖かな日差しと、柔らかい風を感じた。その表情は可愛らしい笑顔を浮かべていて、そこにヒラリと落ちてくるピンクの桜の花びら。
まるで桜の中に眠るお姫様のようで、蓮見の『似合う』といった言葉も、あながち間違ってないな…と、菖蒲もゆっくり瞼を落としながら思うのであった。
……それはとある花見日和の日のこと。3人を優しく包む風は、花びらを楽しげに踊らせていた…。
END
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