[携帯モード] [URL送信]

「ぅ、…うっ、すうじがいっこ、おおいの…」


 シュン…と値段を見て落ち込む紅葉。さっそく犬の財布をぶら下げお店へやってきたのだが、お金が足りないことがちゃんと分かってるらしく、商品を棚に戻した。


「ご、ひゃくえん…ごひゃく、え…んっ」


 値札を見ては、また次のを。それを繰り返していくうちに始めにいた場所からは離れ、商品もまた違うものになっていた。だが値段は298円〜498円という予算にあったもの。

 紅葉はうぅん…と悩むように首を傾げ、それを手にとった。


「えへへ、若ちゃ、よろこぶかな…っ」

『いらっしゃいませーお待たせしましたっ』

「あぅ、あの!ぷ、プレゼント…してください…」

『プレゼント包装ですね?かしこまりましたっ』

「ふわ…はい!」


 出来ないっていわれたらどうしよう。そう思っていた紅葉は店員の笑顔につられ、満面の笑みを返した。買ったものを丁寧に包装してもらい、それを持って家へ帰る。

 ニマニマとしてる顔も、紅葉なら許せてしまうのが不思議だ。


「たっ、だいまー!」

「おーおけぇり紅葉ーっ!大丈夫やったか?変なやつに声かけられへんかったか!?」

「んっ、へーき!」

「そかそか。…それで、何買うてきたん?ちゃんと買ってお釣りももろたか?」

「うん!えへへー…」

「……?」


 家で待っていた若葉にまずは安否を心配され、リビングへ移動する。床にドカッと座った若葉は、1人で買い物が出来たのかと心配そうに聞くが、紅葉は頷いて笑顔を見せるだけ。

 そんなに嬉しかったんか?などと若葉が考えていると…、


――ジャンッ

「若ちゃ、プレゼントなのー!」

「……へ、」


 青色の包装紙で包まれたものを、それはそれは嬉しそうに差し出してくる紅葉に、若葉は顔をキョトンとさせた。プレゼント?いや、お菓子を買いにいったのではないのか、と。


「好きなもん…買うてきてエエ、ゆうたやん…」

「ん、やからねっ、若ちゃにプレゼント!えへへ、いつもおおきにっ」



[*前へ][次へ#]

13/34ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!