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「……ぅ?おこづ、かい?」

「せや。ワイは紅葉が大好きやから欲しいもんは全部買うてやりたいと思っとる。でもそれやダメなんや、将来のために金の使い方も覚えんとな」

「ぼく…おかね、つかうん?」

「いずれはな。ちゅーことで、ジャーン!ワイからわんわん財布と500円のプレゼントやっ」

「わぁーかぁいっ。若ちゃ、おおき、にっ」


 今まで不自由なく物を与えてきた若葉だが、紅葉のためを思ってやり始めたお小遣い制。小3の紅葉に500円は大金なのか少ないのか、それでも紅葉は嬉しそうに目を輝かせた。

 いや、主には財布に、だが。


「お金の使い方や数え方は分かるか?」

「んっと…オモチャとこーかん、するの!」

「そうや。オモチャだけやのうて服やご飯、電車やバスに乗るときも必要になるんや。こん500円は、100円が5個っちゅーことは分かるん?」

「うん!ひゃくえ、は10円が10こなのっ」

「っ…そうや大正解やさすがワイの紅葉ーっ!」


 えへへ、おべんきょーしたんだもん、と誉められて嬉しそうにする紅葉。どうやらお金の使い方や計算についてはなんとか大丈夫らしい。あとはこの500円をどう使うか、それだけである。


「必要なもんはワイが買うたる。やからお菓子とか、そういうんはこの500円で買うんやで?」

「はいっ!ぼく、がんばうっ」

「っあ゙ーアカン可愛すぎやーっ!ほっぺグリグリしたるっ、グリグリーッ」

「きゃーははっ、若ちゃ、くすぐったぁいっ」


 はにかむような笑顔はまさに天使のよう。なんて若葉は心の中で思い、紅葉は何を買うだろうかと興味を示す。オモチャを買おうとして足りなくて泣きついてくるか、お菓子を買って嬉しそうに食べるのか。


(どっちにしても…これもまた、紅葉の成長なんやなぁ…っ)


 くぅーっと、まだ買ってもないのに我が子の成長に涙する若葉。だが、それはほんの序章に過ぎなかった。





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