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「いい飲みっぷりだな。飲めるときに飲んどけよ」
「うわーいってることオッサンくさっ」
「あのなぁ…」
「んぐ、でも…北斗がひな祭りを知ってたのがちょっと意外だった…」
「俺を何だと思ってる。関係ないとはいえ、それくらいの行事は知ってるさ」
「そっか。金持ちボンボンでも知ってたか」
また注いでくれたお酒をクピ、と飲みながら当然かと納得する。
や、なんかほら、庶民の行事なんて知るわけないだろ、とか金持ちはいいそうじゃん。
……まぁ女の子だったら凄い豪華なお雛様とか買ってもらうのかもしれないけど。
しっかし、このあられの絶妙な固さ、塩加減、うまい。
でも喉が渇くからお酒がついつい進んでしまう…。
(……少しペースはえぇな…)
「あ、こっちのも開けていー?」
「……ああ、香澄のために買ってきたんだ」
「へへ、そりゃドーモ。遠慮なく食べちゃうよ」
「俺は少しあればいいから、たくさん食え」
少しあれば…って、結構な量買ってきたくせに。
僕のため…?
まさか、バカみたいだあるわけないし。僕はこれらと同じ、北斗の "モノ" なんだから。
今は遠慮なく食べとくけどね!
高いとやっぱ美味しいみたいだし…司にも分けてあげたいなー…。
──グイッ
「っ…はぁ、うー喉渇くぅ…」
「水…持ってくるか?」
「いいよぉ、ここにコレあんだもん」
ん、と杯を出してもう一杯注いでもらう。
北斗が呆れた顔したけど、なんでかよく分からなくて僕はそのまま、また一口でお酒を飲んだ。
ふぅ…暑くなってきた…。
▼北斗side
生まれてこのかた、ひな祭りなんざ経験したことがねぇ。
当たり前だ、俺は男で、女兄弟はいなかったからな。
だがこの前香澄をスーパーへ迎えにいったとき、そのコーナーを見つけて少し興味を持った。
そして絶品だといわれる白酒やお菓子を見つけ、香澄と食べようと思って注文しといたのが、今日きたんだ。
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