5 『それじゃ足りないんですよ。毎日若の素敵なお姿を見ないと足りな、』 『っ…雅さんここにおったんか!ってまた理人に電話しとるん!?』 『……ええそうですよ?だから少し、黙りなさい』 お、飛沫か? ……可哀相に…あっちに行ってから毎日のように雅から電話がかかってくる。 始めは夜だけだったが、この頃は昼間も。どうやらあっちでの仕事サボってしてるらしく、よくこうして飛沫が乱入して……うん、イジメられんだ。 すまねぇな、飛沫。 「……はぁ、分かった、俺も早くお前に会いたいと思ってる」 「『……え、』」 「だから仕事はキッチリこなせ。飛沫やそっちの組に迷惑かけんな。……って毎回いってるだろ」 『ええ、それが聞きたくて電話してるというのもあるんですけどね。では、こちらの組員の "躾" の時間ですので。くれぐれも手は出さないようお願いしますよ?周りにいる害虫たちさん』 ──ブツッ ……虫けらから害虫…あのクリスマス以来こいつらへの態度が急変したんだよな。 始めはクズ、だったか? もう注意すんのもめんどくせぇよ。 「……そういうことだ。家はムリ…だが、どっか暖かいとこにいきてぇな」 「ぁ…え、じゃ、どっかお店入ろっ?」 「いーねー暖まりたいー」 「「さんせーい!」」 「………内緒、で…」 「そうだな、ここは寒い」 本当は参拝したら帰るつもりでいたんだが、俺も甘いな。 もう少しぐれぇ一緒にいてもいいかもと思い、場所を移動することにした。 俺の周りは常に騒がしく、だがおかげで心はあったけぇ。 だから、ついでに体も暖まるまで一緒にいてやってもいいかな…とか思った。 「まーお前らのおごりだけどな」 「「当たり前(だ)」」 「ククッ、んじゃ、行こうぜ」 どんだけ俺のことが好きなんだ、とか失礼なことを思ったが、心地がいいから何もいわないでおく。 気持ちはイタいほど伝わってくるが、もうしばらく、このままでいさせてくれよな…。 END! リクエストありがとうございました。 [*前へ][次へ#] [戻る] |