2 割り込んできた和也に左手を、右手は来たときからずっと晏に繋がれたまま、順番を待つ。 「でもー着物ーやっぱ似合うよねー」 「……そうか?」 「似合う似合う!」 「色っぽいぜ、りっちゃん」 「だがもっと緩く着ていいんじゃないか?せっかくの肌が隠れてる…」 「……翔平、お前俺に凍死しろっつーのか?」 つか、こんなにキッチリ着ることは滅多にねぇ。外に長く出るからってことで隙間なく着ただけだ。 ……ま、こいつらが近くにいんならキッチリ着とくべきなんだろうが。 「りっちゃん、あのね、僕カイロ持ってきてるんだよ!」 「………あ?」 「ほらっ!えへへ、寒かったでしょ?……どぉ、暖かい?」 ポッケから出したソレを俺の頬に押し当ててくる晏。 外にいて冷え切った顔にはすげぇありがたく、笑顔でそれを受け取った。 「ああ……あったけぇ」 「っ……えへ///」 「っ……理人、暖か、い?」 「いや…歩きにくい」 「ぅ……うぅ、」 ショック受けんなよ。 ただでさえデケェ和也に腕抱えられりゃ、暖かいどころか邪魔だろ。 で、結局晏はなんかポヤポヤして俺から離れ、和也はショックで動きが止まり、俺の横には猛敏がやってきた。 後ろで聞こえる舌打ちは翔平のか? 「それにしてもさ、」 「声かけられないっていいよな」 「「りっちゃんのおかげ?」」 「……一応俺だろうな。知ってる奴は知ってるだろうし…髪色で話がいってるはずだ」 『赤髪の男前は紅井組だと思え』 髪色はいいがその男前って部分はどうにかして欲しいが。 だが、これに便乗して髪赤くして嘘つく奴もいるらしいし、どうかと思うんだがなぁ…。 「へー…でもさ、りっちゃんがどんな有名人でもさ…」 「俺たちは俺たちを分かってくれたりっちゃんが好きだから」 「……は?」 「「可愛い可愛いりっちゃんでしかないんだよね、これが」」 ──チュッ 「っ…ふ、ざけんな!」 なぁにが可愛いだ、人前で頬にキスなんかしやがって! 思わず出た両手は正当防衛だ。 ……たとえ2人の腹に綺麗に入っちまったとしても。 [*前へ][次へ#] [戻る] |