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──ひょいっ


「ひわ…っ!す、探っ!?」

「しーっ」

「あぅ…っ、も、どないしたん?ビックリした…」

「……ん、蓮…」


 繋いでいた手を離し、右手を蓮の膝の裏にいれて持ち上げたのだ。突然のことに驚いた蓮は慌てて探の首に手を回し、しがみつく。それをいいことに探はそのまま蓮を自分の上におろし、ぎゅっと抱き締めた。


「あの…えっと、探?」

「このまま…」

「え…?」

「このまま、観よ?……嫌?」

「えっ、い、嫌やないよ!はっ、恥ずかしいだ、け…///」

「っ…///」


 いくら暗くてみんな映画を観てるといっても、周りにはたくさんの人がいるのだ。そんな中探の膝に横に座り、あまつさえ距離が近くなったことが嬉しいと思ってしまった。蓮は顔を真っ赤にして探の胸元に顔を埋め、探も横を向いて照れた顔を隠した。


「でも、重ない?」

「……平気。軽い」

「そか…ほな僕も…っ、このままが、ええな」

「う、ん…」


 どうしてだろう、映画の音はこんなにも大きいのに、お互いの心臓の方が大きく聞こえてくる。けれどそれが心地よく、蓮は探にもたれかかったまま映画の続きを観だした。探も蓮を抱いていることに満足したのか、髪にキスを落としながら適当に映画を観る。


 ……が、中盤にさしかかったころ、探の動きが一切なくなり蓮は不思議そうに探を振り返った。


「探、大丈夫…?」

「……すー…すー…」

「ぇ…嘘、寝とるの…っ!?」

「ん……れ、…ん」

「っや…/// あぅ、も、どないな夢みとるの…ぉ」


 低く甘く囁かれた自分の名前に、蓮は身震いをした。軽く文句をいってみるも探は寝入ってしまったようで、蓮は呆れた、でもどこか幸せそうな笑みでまた映画を観だした。しかしすぐ耳元で聞こえる寝息にすっぽり包まれた体、次第に蓮の瞼もゆっくりと下がってくる。


「んっ…ぇ、が…観に来たんに…」

(でもでも、我慢出来へんよぉ…っ)


 あなたの暖かさが一番の睡眠薬だから。あなたの音は安心するから。


 俯いている探の鼻にチュッとキスをし、蓮も探にもたれかかったまま眠りの世界へと飛び立ってしまった…。そこは草原で、蓮と探がいて、猫や犬などの可愛らしい動物が2人を祝福している、まるで楽園。

 そのときの2人は誰が見ても幸せそうだと思える寝顔を浮かべていたとか。




『あのー…お客様、起きて下さい…』

「んぅ…んっ…。ぇ…や、何っ!?」

「ん゙…蓮…?」

『上映時間は終わりましたので…その…』

「っ…あ、か、堪忍しておくんなはれぇっ///」

「……蓮、かわいっ」

「もっ、今はそれどころや…っ…探かて、かっこええもん…」


 END!
リクエストありがとうございました。

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あきゅろす。
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